18862 朴槿恵政権悩ませる現金授受疑惑 歴代秘書室長の名がズラリ   古沢襄

■“暴露”の前与党議員は自殺

韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権時代の「資源外交」にからむ事業の横領疑惑で、自殺した与党セヌリ党前議員で会社会長の成完鍾(ソン・ワンジョン)氏が、死の直前に、朴槿恵(パク・クネ)大統領の側近らに巨額の金を渡していたと“暴露”したことが、韓国社会を揺るがせている。

成氏証言の真偽など真相解明はこれからだが、朴政権の元前現の秘書室長3人の名前が出てきたことで、クリーンさを売り物にしてきた朴政権のイメージは大きく傷つきそうだ。(ソウル 名村隆寛)

李前大統領の資源外交を側近として支えた成氏は、検察から逮捕令状が出されていた9日、ソウル市内の山中で自殺する直前に、韓国紙、京郷新聞の電話インタビューに応じていた。
 

成氏はインタビューで、「2006年9月、金淇春(キム・ギチュン)前秘書室長がVIP(朴大統領を指すとみられている)に付き添ってドイツを訪問する際、10万ドル(約1200万円)を両替して渡した。

07年には許泰烈(ホ・テヨル)元秘書室長に7億ウォン(約7700万円)を3、4回に分けて渡した」と語った。京郷新聞はこのインタビューの音声を電子版で公開した。

韓国メディアの報道によれば、自殺した成氏のポケットから見つかったメモには、金、許両氏を含む計8人の名前と、そのうち6人に渡したと推測される金額が記入されていた。
 

許泰烈氏は朴政権発足時の大統領秘書室長で、金淇春氏は2代目の秘書室長。これに、金額は記されていないものの、現秘書室長の李丙●(=王へんに其)氏や李完九首相らの名もメモには記されていた。

京郷新聞は11日、新たに成氏へのインタビュー内容を続報し、8人のうち、朴大統領が大統領選に出馬した12年に、セヌリ党の洪文鐘(ホン・ムンジョン)議員(当時、朴槿恵陣営の中央選挙対策委組織総括本部長)へ選挙資金として2億ウォン(約2200万円)が渡されたと報じた。

真相はともかく、名前の上がった人物のほとんどが、朴大統領の最側近らだ。13年の政権発足時からの3人の大統領秘書室長の名前が出ていることに、世論は騒然となっている。

つい先日まで熱を帯びていた歴史認識をめぐる対日非難報道は、すっかり影を潜めた格好だ。

現金授受疑惑に名前の挙がった有力者はいずれも疑惑を強く否定しているが、朴槿恵政権は発足当初から「道徳性」、すなわちクリーンさを前面に押し出してきた。

複数の韓国メディアは、成氏の証言やメモが事実だと立証された場合の政権に与えるダメージに言及している。

一時、30%を割った朴大統領の支持率は、最近40%にまで回復している。こうした中、前政権の疑惑を追及する過程で、現政権に関わる思いもよらない疑惑が暴露され、政治的な攻防が始まるのは時間の問題だ。

朴大統領を選出した12年の大統領選挙で、当選に重責を果たした洪文鐘(ホン・ムンジョン)議員らの名前が挙げられる中、野党側からはすでに「大統領選の資金問題とのからみ」を追及する動きもある。

韓国では16日に、旅客船「セウォル号」の沈没から1年を迎える。同日に関連行事を済ませ、朴大統領は南米4カ国歴訪に出発する。

検察当局は、「毅然(きぜん)とした捜査に基づく真相解明」を進める姿勢を示しており、韓国メディアもその立場を支持している。(産経)

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