■独仏も米国の思惑とそりがあわず人民元の国際化を支援へ
IMFのSDRバスケット通貨に人民元が加わるか、どうか。
現行のバスケット通貨は米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円である。IMFは十年ごとに、通貨別評価を行うが、ことし2015年にその節目を迎える。
米国が依然として人民元のSDRバスケット通貨入りに反対している理由は「(1)中国の金融システムの閉鎖性、不透明性、銀行システムに規制緩和がなされず、人民元を国際決済通貨として扱うには無理がある。(2)人民元は為替管理されており、変動相場制への移行がない限り、条件を満たせない」というもので、客観的情勢を勘案すれば、すごくまっとうな理由である。
ルー財務長官は、この主旨をすでに中国側に伝えている。
しかし『プラウダ』(英語版、2015年4月7日)によれば、「人民元はすでに世界GDP第二位の経済力をほこり、その中国の実力からしても、優に世界第二位の通貨にふさわしい遇され方をされるべきであり、独仏も賛成している以上は、IMFのバスケット通貨に加わるに値する。しかもドルよりも人民元の需要が強く、すでに国際通貨である」と過大評価に終始している。
ロシアの狙いは明らかに英米向けになされている戦術的蜜月演出の一環である。
言論戦でも英米を揺さぶり続けて、ユーロ圏の欧州との分断を企図し、ウクライナ問題での制裁解除の宣伝戦に利用しているのだろうが、見え透いた論理的破綻があり、つよいインパクトを英米金融界に与えたとは考えられない。AIIB論議が沸騰する中、思いつきで発せられた攪乱メッセージのたぐいとも取れる。
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