■ポールソン前米財務長官は習近平をほめあげたりけなしたり
米国の企業幹部多数を引き連れ、70回も北京を訪問して中国経済を礼賛していた代表人物のひとりはヘンリー・ポールソン元財務長官だ。
かれはゴールドマンサックス共同会長から、財務長官となってウォール街の利益を誘導する政策をとったが、同時にかれは中国経済を重視した。
ポールソンは人民元の流通を拡大させることに前向きに協力し、また中国企業の起債に積極的に協力した。
出身母体のゴールドマンサックスが率先して中国工商銀行の大株主にもなった。香港株式市場への上場を示唆したのもポールソンだった。
ところがポールソンは新著『中国へ道しるべを示した』という回廊録のなかで次のように記した。
「中国の成長モデルはすでにダイナミズムを失った。大胆な政策が必要とされるのに習近平は改革への意欲を欠いている。問題は『成長の速度』ではなく、成長の来因が重要である。過去の中国の急激な成長は地方政府の債務による投資に依拠した。国有企業のがむしゃらな設備投資に支えられたが、そのような成長は長続きしない」
そして続けた。
「金融システムの調整が必要だが、習近平は党内に物議を醸し出し、日本との関係を悪化させ、メディアの統制どころかインターネットも監視している。経済が今後も安定的持続を志向するのであれば言論の自由、流通の自由を認める改革が必要であるにもかかわらず習近平は、そのことに背を向けている」
習の中国は軍事大国化とナショナリズムの鼓吹に収斂し、たしかに軍事大国の地位を確立したが、法治国家建設は進まず、汚職体質は止まず、貧困層は増殖し、大局観に賭けるようだと嘗ての親中派のチャンピオンは述べているのである。
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