■100人以上死亡
ネパールの中部でマグニチュード7.9の大きな地震があり、ネパールでは100人以上が死亡したほか、隣国のインドと中国でも合わせて3人が死亡するなど被害が広がっています。
アメリカの地質調査所によりますと、現地時間の25日正午前(日本時間の午後3時すぎ)、ネパール中部を震源とするマグニチュード7.9の地震があり、ネパールからインド北部にかけての広い地域で強い揺れが観測されました。震源は、首都カトマンズの北西80キロ付近とみられ、現地ではその後も余震とみられる地震が相次いでいます。
ロイター通信は、ネパールの警察の話として少なくとも108人が死亡したと伝えています。首都カトマンズでは、旧市街にあるユネスコの世界文化遺産に登録されている塔が崩壊して、およそ50人が下敷きになっているという情報もあるほか、広い範囲で多くの建物やレンガの塀が倒壊するなど被害が広がっています。
ネパールにある日本大使館によりますと、現時点で日本人の被害は確認されていないものの、現地には1100人以上の長期滞在者がいるほか、短期の旅行者もいるため、確認を急いでいます。また、カトマンズにある国際空港は現在、閉鎖されているということです。
一方、被害は隣国にも拡大していて、インド東部のビハール州の当局によりますと、2人が死亡し、6人がけがをしたということです。また、中国国営の新華社通信によりますと、中国のチベット自治区で1人が死亡したということです。
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■日本からの旅行者にけが人も
国内の旅行会社のうち、阪急交通社では、ヒマラヤのトレッキングをするツアーに名古屋と東京から合わせて36人が参加していたということです。地震が起きたときはカトマンズにいて、2人が落ちてきたものにあたってすり傷を負ったということですが、大きな被害はなく全員の無事が確認されているということです。
また、HISも現地へのツアーを行っていますが、今のところ被害の情報は入っていないということです。
■エベレストで雪崩 少なくとも8人死亡
ネパールの観光省によりますと、今回の地震によってエベレストの登山者のベースキャンプ付近で大規模な雪崩が起き、少なくとも8人が巻き込まれて死亡したということです。
観光省の担当者はロイター通信の取材に、「登山ガイドや外国人観光客など、雪崩に巻き込まれた人の数はさらに増えるおそれもある」と話しています。
■震源近くは有数の観光地
今回、地震が起きたネパール中部には、世界中から多くの観光客が訪れます。今回の震源から南東におよそ80キロのところにはネパールの首都カトマンズがあります。カトマンズがあるカトマンズ盆地一帯はユネスコの世界文化遺産に登録され、13世紀から18世紀にかけて建てられた王宮や寺院、塔など多くの歴史的建造物が残されています。
震源から西におよそ70キロにあるヒマラヤ山脈のふもとの都市ポカラは、登山やトレッキングの拠点として知られています。また、震源の南西およそ150キロのところにはブッダ生誕の地とされるルンビニがあります。観光業はネパールの主要な産業の1つで、日本からも毎年、2万人以上が訪れているということです。
■観光名所の塔が崩壊
この地震で、カトマンズの旧市街にある、有数の観光名所ビムセンタワーが崩れました。ビムセンタワーは、19世紀に建築された高さおよそ50メートルの塔で、ユネスコの世界文化遺産に登録されているカトマンズ盆地にあります。
旧市街を見渡せる展望台を備えていて内外の観光客が大勢訪れますが、現地からの映像では、塔は跡形もなく崩れ落ちており、集まった人たちががれきを掘り起こしている様子が映されています。崩れた塔の下には50人が閉じ込められているという情報もあり、救助活動が行われているもようです。ビムセンタワーは、1934年にも地震で大きな被害を受けています。
■大きな余震や洪水の可能性も
今回の地震について東京大学地震研究所の加藤照之教授は「この地域はプレートとプレートが衝突しているため、岩盤に強い力がかかり、地震活動が活発な地域だ。今後も周辺ではマグニチュード7から6程度の大きな余震が起きる可能性があり、地震で倒壊しなかった建物でも被害が出るおそれがあるので注意が必要だ。また、山岳地帯で起きた地震のため、地震による崖崩れで川がせき止められると、下流の地域では洪水の危険性もあるので、被害の実態を調べることが重要だ」と話しています。(NHK)
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