18991 日本 最大規模の石油権益の5%獲得へ調整   古沢襄

日本の資源大手INPEX=国際石油開発帝石は、UAE=アラブ首長国連邦のアブダビ首長国で交渉が続けられてきた世界最大規模の石油権益を巡る国際入札で、権益の5%を11億ドル(およそ1300億円)で獲得する方向で最終調整に入ったことが分かりました。実現すれば、原油の安定調達に向け一段と前進することになります。

UAEのアブダビ首長国は、日量160万バレルを誇る合わせて15の陸上油田について、権益の期限が切れたため、およそ40%を外国企業に開放することにしており、国際入札が続けられてきました。

関係者によりますと、これまでの交渉の結果、日本のINPEX=国際石油開発帝石は、権益の5%を11億ドル(日本円でおよそ1300億円)で獲得する方向でアブダビ側と最終調整に入ったことが分かりました。

実現すれば、日量で8万バレルに相当する権益を確保できることになります。

日本が海外で権益を持つ自主開発油田全体の量は現在日量およそ70万バレルで、さらに上積みされることで、原油の安定調達に向け一段と前進することになります。

今回の国際入札を巡っては、欧米のメジャー各社に加えて、韓国や中国の石油開発会社も参加したほか、各国政府の強力な後押しもあって、水面下で激しい競争が繰り広げられてきました。

日本は宮沢経済産業大臣がことし1月にアブダビを訪問し、国営石油会社のトップと会談したり、政府として留学生の受け入れや医療支援を強化する考えを伝えたりして、官民挙げて権益獲得を目指してきました。

■交渉の経緯

アブダビ首長国が今回、入札を実施した陸上油田の石油権益は日量160万バレルと世界最大規模であることから欧米の石油メジャーや日本のINPEX=国際石油開発帝石だけでなく、中国や韓国の石油会社など合わせて11社が入札に参加しました。

各国の企業は政府の支援も受けながら権益獲得に向けて交渉を続けてきました。

このうちフランスの石油会社トタルはことし1月、他社に先駆けて10%の権益獲得に成功しました。

背景にはフランス政府の強力な支援があったと言われています。

フランス政府はルーブル美術館のアブダビ分館の建設に乗り出したほか、UAEの空軍向けに戦闘機を大量に納入するなど、文化面や軍事面を通じて結び付きの強化を図っていました。

また、日本と同じく権益の獲得を目指す韓国はパク・クネ(朴槿恵)大統領がことし3月にアブダビ首長国を訪問し、石油権益の実質的な最高権力者であるムハンマド皇太子と会談するなど活発な資源外交を展開したほか、アブダビ首長国から原子力発電所の建設を受注するなど存在感を高めていました。

こうした各国の動きに対して日本政府は教育と医療の支援を軸にアブダビ側に働きかけを行ってきました。

留学生の受け入れ枠を拡大したり再生可能エネルギーの技術指導に乗り出したりするとともに、日本の高度な医療サービスを提供する病院施設の建設を検討しています。

また、宮沢経済産業大臣がことし1月にアブダビを訪問し、国営石油会社のトップと会談して日本企業の強みなどを訴えました。

■日本の石油権益とは

日本が輸入する原油の量は日量でおよそ365万バレル。

このうち、20%に当たるおよそ日量70万バレルは日本企業が海外で石油権益を持つ自主開発油田で生産されています。

こうした自主開発油田は権益分については日本が優先的に輸入することができるため、紛争など不測の事態が起きても原油を安定して調達することができ、政府もエネルギー安全保障の観点から重要だとして金融支援などを通じて後押ししています。

ただ、日本企業による権益の獲得は2009年に大手石油開発会社の「石油資源開発」が、イラクの南部にあるガラフ油田の権益を獲得して以降、ありませんでした。(NHK)
 

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