■財政危機のギリシャ賠償額36兆円と試算 独政府は「解決済み」
【ベルリン=宮下日出男】ドイツは8日、第二次大戦での無条件降伏から70年を迎える。ナチス・ドイツの犯罪に対する謝罪や補償で国際社会の信頼を回復してきたが、ギリシャと賠償問題が再燃。
背景には財政危機をめぐる駆け引きもあるとされ、政治状況に揺れる戦後処理の難しさを浮き彫りにしている。
「法的に有効だ」。ギリシャのパブロプロス大統領は4月末、戦時中の占領に伴う損害の賠償請求について独メディアで語り、国際司法の場を含めた対応の必要性を強調した。
ギリシャのチプラス政権は1月の発足後、「道徳的義務」として賠償請求の検討を表明しており、賠償額を約2787億ユーロ(約36兆円)と試算する。
パブロプロス氏はガウク独大統領と早期に協議したいとも述べた。だが、ガウク氏は2日、別の独メディアで、何らかの対応の検討には賛意を示しつつも、賠償問題で「政府と異なる見解は述べない」とした。
独政府は1990年の統一時に旧東西ドイツが米英仏ソと結んだ「ドイツ最終規定条約」に基づき、賠償問題は「法的、政治的に解決された」との立場だ。
ドイツは戦後分断されたため平和条約が結ばれず、国家間賠償の請求は延期されたが、規定条約は「ドイツへの権利と責任を終結させる」などと規定。
ギリシャを含む当時の全欧安保協力会議(CSCE)も同年採択した「パリ憲章」で規定条約に同意したというのが、根拠となっている。
ドイツは一方で国内法や2国間協定で、ナチスの迫害の被害者に多額の補償を実施。ギリシャにも支払っており、補償も決着済みとする。
だが、ギリシャは請求権を放棄していないと主張。パリ憲章が規定条約を「考慮する」と表現するなど、ドイツの専門家でも法的に問題が解決したか否かについては議論が割れる。
ただ、独側や国際司法機関がギリシャの要求を認めれば、他国に影響しかねない。「パンドラの箱を開ける」(専門家)ことは独側としては避けたい事態だ。
ギリシャの賠償問題は過去にも持ち上がったが、現政権は一時、国内のドイツ資産差し押さえをちらつかせる強硬さを見せた。
欧州連合(EU)の金融支援再開に向けた協議が難航し、影響力を持つドイツを揺さぶったとの見方が大勢だ。
独側は沈静化のための対応を模索し、歴史研究を目的とした両国間の基金拡充などが浮上。
メルケル首相は2日、「歴史に終止符はない」とギリシャへの道義的責任を強調して配慮した。独誌シュピーゲルは「歴史は消えず、今後も利用される」とし、「政府は冷静かつ理解を持って応える方がよい」と指摘する。(産経)
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コメント
日本訪問時の、メルケル首相の
言動が、何処から誘導されたかは
不明だが帰国後に「やられた」と
悟ったのではないか?・・態と?
ドイツの戦後処理は日本の戦後
処理と比べて、独サイドから見て
自分優位の、甘過ぎる決着に終始
していると世界に宣言したような
ものだった。
ユーロ圏の中で独逸は独り勝ち。
ユーロの経済力そのものが独逸の
意のままになるような有様だった。
しかし、ユーロ加盟諸国も現状
をそのまま許さないだろう。伊や
スペインはともかく仏蘭ベルギー
オランダ、ポーランド東欧諸国も
独乃至、露には相当の損害賠償権
ある事に気付いたのではないか?
それは独逸自らが墓穴を掘った
「ユーロ圏終わりの始まり」かも
?・・しかし、独逸は試練を機会
と解し、故ある損害賠償請求には
何年かかっても応じて行くに違い
ない。
結果、独逸の優秀さは益々研磨。
「中国韓国的外交手法」が、世界に蔓延し始めたようです。
説得しようとしても聞き入れる筈もありません。
金を払えば、更に要求してきます。
このような手法には、「無視」。
これに限ります。
1949年のパリ条約で、オーストリア等のドイツ以外の旧枢軸国は、連合国側に戦時賠償をしています。ドイツは「統一まで賠償しない」とのこと。
1949年のパリ条約と1990年のドイツ最終規定条約で、英米仏ソとは戦時賠償を完了したことになっていますが、それ以外の連合国側とは講和条約を結んでいません。
ギリシャの次は、ノルウェー、デンマーク、ポーランド、チェコ… と、戦時賠償を要求するでしょう。