19064 クリントン氏、有権者の否定的な見方上昇   古沢襄

■米ウオールストリートジャーナル(WSJ/NBC)調査
 

2016年の米大統領選の民主党候補の本命と目されるヒラリー・クリントン前国務長官は、寄付集めの手法や電子メールの利用方法をめぐり議論を呼んでいるが、民主党支持者の間での支持は依然強固で、揺るぎないことが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCテレビの最新の共同世論調査で分かった。

それによると、4月に大統領選への出馬を正式表明したクリントン氏を否定的に見ている人は登録有権者全体の42%と、7週間前の36%から跳ね上がった。

「正直で率直」と評価している人は、昨夏の38%から25%前後に低下した。しかし、民主党支持者の間では、好意的にとらえている人は76%に達した。調査は4月26-30日に1000人の成人を対象に行われた。

共和党候補の方では、共和党登録有権者の支持率でトップに立っているのはジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事。ブッシュ氏を第1候補と挙げたのは23%だった。

ただ、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州)も幅広い支持を得ているようだ。ルビオ氏を第1候補としないまでも、同氏を支持すると答えた者は、共和党支持者の4分の3近くに上り、他のいずれの共和党候補よりも高かった。

調査結果からは、民主・共和両党の予備選への有権者の対応の基本的な違いが浮き彫りになっている。

共和党支持者は、候補を物色している段階なのに対し、民主党側はクリントン氏が衆目の一致する最有力候補となっている。しかも、ヒスパニックや女性など重要なグループの支持率では共和党候補を圧倒している。

クリントン氏はここ数週間、国務長官時代に私用電子メールを公務に使用したと報じられ、また夫のクリントン元大統領とともに設立・運営しているクリントン財団が外国政府からの寄付を受けているとして批判されている。

共和党の世論調査専門家であるビル・マッキンターフ氏は「クリントン氏は困難に見舞われ、支持率にも影響が出ている」としながらも、「民主党支持者には基本的には変化を及ぼしていない」と話す。

同じく民主党の世論調査専門家であるピーター・ハート氏は「今回の世論調査結果は彼女の政治的なスタミナを示すものとなったとし、「米国の『鉄の女』はガラスの顎をしていない」と表現する。

「政府の最優先課題は何か」との質問では、「安全保障・テロ」と答えた者は、両党の支持者を合わせた全体の21%となり、「雇用創出・経済成長」の29%に次いで2位を占めた。

過激派「イスラム国(IS)」の台頭や海外での紛争激化の前の2012年3月には、「安全保障・テロ」の回答は6%にすぎなかった。

中でも、共和党支持者の間の変化は大きい。安全保障・テロを最優先課題とする者は27%に達した。12 年の時はわずか8%だった。

民主党の世論調査専門家のフレッド・ヤン氏は「来年の大統領選では、外交政策がおそらく04年の大統領選以来の大きな影響力を持つだろう」と予想する。

調査では、民主党支持者の間ではクリントン氏の支持率は揺るがないが、無党派層では否定的に見ている者が、前回調査の34%から48%に上昇した。

クリントン氏の強みの1つは、女性とりわけ白人女性の間の支持が厚いことだ。白人女性の間では、クリントン氏と4人の共和党有力候補の支持率を1対1で比較した場合、クリントン氏が最大10ポイント上回った。

クリントン対ブッシュ、クリントン対ルビオのいずれの場合も49%対43%、クリントン対スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事が50%対40%、クリントン対ランド・ポール上院議員が47%対44%だった。

共和党支持者が選ぶ同党最有力候補はブッシュ氏が23%でトップに立ち、続いてルビオ氏18%、ウォーカー氏14%、ポール氏11%などとなっている。

ただ、「共和党指名候補として支持するか」との質問には、ルビオ氏が74%で、ブッシュ氏の70%を上回った。(米ウオールストリートジャーナル)

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