19111 明らかに米国の態度が変わった…韓国圧力   古沢襄

■「歴史修正主義者」レッテル覆した米議会「スタンディングオベーション14回」

安倍晋三首相は先の訪米で、日本の首相として初めて米議会上下両院合同会議で演説し、米国から高い評価を勝ち取った。

敵対国から同盟国になった日米両国の「心の紐帯(ちゅうたい)」を訴え、新時代の日米関係へ導いた演説は、歴史的成果として日本外交史に刻まれるはずだ。

■演説後も称賛

安倍首相の演説「希望の同盟へ(Toward an Alliance of Hope)」は約45分にわたった。

実は予定していた時間より5分オーバーしている。

首相は本番を前に何度も予行練習を重ねていた。それでも予定時間に収まらなかったのは、聴衆が立ち上がって拍手を送るスタンディングオベーションが14回もあったからだ。

このスタンディングオベーションは米議員団の「外交儀礼」と冷ややかな見方がある。それは確かに否めない。だが、その称賛は演説後でも明らかだ。

演説を終え、議場を引き揚げようとする首相の回りに人だかりができ、多くの議員が演説をたたえ、握手を求めた。中にはサインをねだる議員もいたという。おかげで首相は10分以上も議場から出られなかった。

演説場所となった下院本会議場は500人を超える両院議員で埋め尽くされ、2階の傍聴席もほぼ満席だった。その多くの米議員らが演説を「評価」したのは間違いないだろう。

「みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです」

スノーデン氏は先の大戦で米海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した。

傍聴席のスノーデン氏が立ち上がると、議員団は再びスタンディングオベーションで敬意を表した。

90歳を超えるスノーデン氏に寄り添い、腕を支えていたのが首相の盟友、新藤義孝前総務相だった。

新藤氏の祖父は硫黄島で旧日本軍を率いた栗林忠道大将。70年の時空を超え、かつて敵同士として憎み合った日米の「心の紐帯」を体現するシーンだった。

首相は「これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう」と呼びかけた。

さらに首相は演説の直前に立ち寄った第二次世界大戦記念碑のエピソードを披露する。

「神殿を思わせる、静謐(せいひつ)な場所でした。耳朶(じだ)を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。その星ひとつ、ひとつが、斃(たお)れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました」

「金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかし、そこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も」

「真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海…、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙とうを捧(ささ)げました」

「親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます」

首相は先の大戦について「悔悟」と表現して犠牲者に哀悼の意を捧げ、歴史を直視する姿勢を揺るがせにしなかった。

米国内に広がりつつあった首相に対する「歴史修正主義者」という懸念が払拭されたのは、このときの議員団によるスタンディングオベーションが立証している。

これを苦々しい思いで見ていたのが、歴史認識で首相をののしってきた韓国である。

■韓国の圧力

「正しい歴史認識を通じ、周辺国との真の和解と協力を成し遂げる転換点になり得たのに、そうした認識も心からのおわびもなく、非常に遺憾に思う」

韓国外務省は4月30日の報道官声明で演説を批判した。韓国は国ぐるみで首相訪米に対抗する反日工作を仕掛けていただけに、その悔しさは相当なものだろう。

日本政府は今回、米国社会に根付く韓国系の圧力をはね返し、演説の機会をもぎ取った。小泉純一郎政権時代にも演説を模索したことがあったが、靖国神社参拝を理由にされ、実現には至らなかった。しかし、今回は米議会への日本政府の働きかけが功を奏し、「米議会による招待」という形での演説にこぎ着けた。

その背景には、米国の軍事力、国力が相対的に落ち込む中、アジア太平洋地域で覇権主義をむき出しにする中国に対抗するため、日本の力に頼らざるを得ないという事情がある。

日本の歴代政権が目をそらしてきた集団的自衛権の行使容認をはじめ、日米同盟を強化するための安全保障法制の整備に取り組む安倍首相が、米国にとって頼もしく見えたのだろう。

もう一つの成果は、バラク・オバマ米大統領と信頼関係を築いたことだ。安倍政権内では「日本に冷淡」(政府関係者)とみられがちだったオバマ氏だが、今回の首脳会談で明らかに態度が変わった。首相が差し伸べた手をようやくオバマ氏が固く握ったのである。

安倍、オバマ両首脳は記者会見で何度も「バラク」「シンゾー」とお互いにファーストネームで呼び合った。歓迎式典、日米首脳会談、公式夕食会…。全ての場面でオバマ氏は首相をもてなした。これも「国賓級」だから当然なのかもしれない。

ホワイトハウスで開かれた公式夕食会では、首相の地元・山口県の地酒で乾杯した。2年前の2月訪米時の昼食会ではオバマ氏の手元にある飲み物はミネラルウオーターだけだった。歓迎式典や公式夕食会で首相を迎える場面のオバマ氏は、明らかに首相よりもにこやかな表情を作っていた。両氏の距離感が確実に狭まってきていることが感じられた。(産経・政治部 峯匡孝)

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コメント

  1. きらきら より:

    いつまでも宗主国扱いされてアメリカの議員どももうれしくて14回スタンディングオーベーションしたのかも知れないですね。
    まだ、日本は真の独立国ではない。
    誰が首相になっても同様なパフォーマンスしないといけないかと思うと笑ってしまいます。
    アメリカの操り人形になります。
    TPP参加OKです。
    アメリカ軍の肩代わりも喜んでやります。
    戦争犯罪を犯したアメリカに謝罪と賠償金を求める!と発言できる日はまだ遠いですか?

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