19169 「退去せよ」中国軍から警告   古沢襄

■南シナ海飛ぶ米偵察機に同乗 米CNN

南シナ海上空(CNN)中国海軍は南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対し、20日だけで8回にわたって警告を発した。CNN取材班はこの偵察機「P8Aポセイドン」に初めて搭乗を許可され、独占取材を行った。

中国が南シナ海に相次ぎ人工島を建設して軍事施設を増強していることに対し、米国防総省は警戒を強め、中国の領有権に関する主張を米国が認めていないことを誇示する目的で偵察飛行を行っている。人工島の建設に対しては米国の同盟国も懸念を強める。

国防総省がメディアによる取材を初めて認めた背景には、人工島が投げかける問題や米国の対応強化について世論を喚起する狙いがある。

中国が米国の対応を歓迎していないことは即座に分かった。「こちら中国海軍。こちら中国海軍。どうぞ退去してください。誤解を避けるために」。取材班が搭乗した偵察機は、無線通信でそう呼びかける英語の音声を受け取った。

国防総省が中国の建設作業現場の映像や米偵察機に対する警告音声を公表したのは初めて。

偵察機は最も低い時で1万5000フィート(約4572メートル)の高度を飛行した。米軍はこの地域でプレゼンスを高めるため、偵察機や軍艦で人工島にさらに接近することも検討中だ。

中国海軍の通信が入って間もなく、発信元の人工島が見えてきた。同島は中国の沿岸から1000キロほど離れた海上に建設されていた。

南シナ海には豊かな漁場があり、大量の天然資源が埋蔵されている可能性もあることから、問題の海域では複数国が領有権を主張している。

20日の偵察は3つの人工島の監視が目的だった。数カ月前までは小さな岩が点在するだけだった海上が埋め立てられて大規模な建設作業が進められており、米国はこうした島が近いうちに軍事施設として実用配備されることを危惧する。

アジアに配備された米軍のP8およびP3偵察飛行部隊の司令官、マイク・パーカー大佐は、ファイアリー・クロス礁を拡張した埋立地に建設された早期警戒レーダー基地を指しながら、「30分前にも中国海軍から警告された。陸上のこの施設から発信されていることは間違いない」と語った。

中国はわずか2年の間に人工島の面積を8平方キロ以上も拡張した。P8の監視カメラがとらえた映像には、ファイアリー・クロス礁に早期警戒レーダー基地や軍の兵舎、監視塔、滑走路が映っている。滑走路は中国軍のあらゆる戦闘機が使用できる長さがあり、一部では「中国の不沈空母」とも呼ばれる。

人工島の守りも増強されている。操縦席のマット・ニューマン少佐によると、島の周りを中国の軍艦や沿岸警備隊の船舶が航行し、上空は対空捜索レーダーで監視されているという。

「我々を監視しているのは間違いない」というニューマン少佐の言葉通り、中国海軍はこの日の偵察飛行の間だけでも8回にわたり、P8に対して領空から出るよう通告した。

これに対して米軍側は一貫して、P8は国際空域を飛行していると繰り返す。

この応答にいら立って、1度は「こちら中国海軍。出て行け!」という反応が返って来た。

この空域は軍だけでなく民間の航空機も飛行する。米デルタ航空のパイロットが同じ周波数を使って民間機であることを伝えると、無線通信の相手は「中国海軍」と名乗り、デルタ機はそのまま飛行を続けた。

建設作業が進むほど、中国海軍の米軍機に対する警告の頻度や攻撃性は高まると米軍司令官は予想する。

ファイアリー・クロス礁やミスチーフ礁では埋め立てや建設の作業が盛んに進められている様子が見えた。「毎日こんな様子だ。週末も働いているのだろう」とパーカー大佐は話している。(CNN)

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