■AIIBを横目に大胆な提言、中国に衝撃の波紋
安倍晋三首相は5月21日に東京で開催中だった「アジアの未来」の晩餐会で演説し、今後五年間で13兆円をADB(アジア開発銀行)と連携するかたちでアジアのインフラ建設に投じるとした。
ドル換算で1100億ドル。中国主導のAIIBの資本金(500億ドル)の二倍以上にあたる。
この演説の中でとくに注目するべきは「安かろう悪かろうはもう要らない」と安値攻勢をかける某国のやりかたを痛烈に批判し、「短期的なやりかたで現地政府に必要以上の支払い保証をもとめるやり方がまかり通った」が、これからは「質の良さ」がアジアのインフラ整備には欠かせないとしたことである。
重ねて某国を批判している点がポイントである。
驚いたのは中国並びに中国語圏、たとえば香港のサウスチャイナモーニングポストなどは大きく取り上げた。
シンガポールで開催されていたAIIB準備会では、はやばやとドイツが「AIIBの理事はドイツが適切である」と述べていたことが分かった。
「ドイツはユーロの中軸であり、フランクフルト市場では人民元取引も開始されている。ドイツが理事会の重要な位置を占めるのは欧州の利益にもつながり、またAIIBのルールが西側のそれに準じた国際標準に近いものにすべきである」と述べた。
このドイツ代表の発言は中国の暴走に歯止めをかけ、西側の銀行ルールを強く、AIIBの理事会に求めているのである。
他方、人民元のIMF基軸通貨入りを強く支持しているのはロシアで、「十月にSDRに人民元が入り、ドルの影響力を弱めるだろう」(プラウダ、5月21日)。
もし、人民元がSDRの基軸通貨入りが認められないとなると、金準備が豊富な中国とロシアは何らかの行動(金本位制復帰)にでるかも知れないなどとも書いている。
各国の反応がバラバラの特色を滲ませてきた。
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