イラク政府軍は、過激派組織IS=イスラミックステートに制圧された西部の主要都市ラマディの奪還に向け、シーア派の民兵組織などからなる部隊を前進させているほか、北部のISの拠点に対しても新たな攻撃を仕掛けて、各地で激しい戦闘が続いています。
イラク西部アンバール県の当局者によりますと、政府軍は、過激派組織ISに制圧されたアンバール県の中心都市ラマディの奪還に向け、イスラム教シーア派の民兵組織などからなる部隊をラマディの東およそ10キロほどの町まで前進させ、25日にはISが補給路に使っていた幹線道路を封鎖したということです。
また、政府軍は北部のISの拠点ベイジに対しても、アメリカ軍などによる空爆の支援を受けながら新たな攻撃を仕掛けています。
これに対しIS側は、爆弾を積んだ車で政府軍に突っ込む自爆攻撃を繰り返すなどして抵抗し、各地で激しい戦闘が続いています。
一方、隣国のシリアでは25日、世界遺産の巨大遺跡があるパルミラを制圧したISに対して政府軍が市街地に激しい空爆を加え、国営メディアによりますと、ISの複数の拠点を破壊し多数の戦闘員を殺害したということです。
ISの戦闘員は、パルミラの巨大遺跡の辺りにも拠点を築いているとみられていて、戦闘の激化によって中東有数の貴重な文化財に被害が及ぶことが懸念されています。
■アメリカも全面支援
アメリカのホワイトハウスによりますと、バイデン副大統領は25日、イラクのアバディ首相と電話で会談し、過激派組織IS=イスラミックステートと戦うイラク政府軍をたたえました。
そのうえでバイデン副大統領は、西部の主要都市ラマディをISから奪還するため、イラク政府軍に対する訓練の実施や武器の供与を加速させるなど全面的に支援することを約束しました。
ラマディがISに制圧されたことを巡っては、アメリカのカーター国防長官が「イラク政府軍に戦う意志があるかどうかが問題だ」と懸念を示し、これにアバディ首相が反論したことから、両政府の足並みの乱れが浮き彫りになっていました。
このためバイデン副大統領としては、アバディ首相との電話会談で関係修復を図るねらいもあるものとみられます。(NHK)
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