■「サッカービジネスを腐敗させ、私腹を肥やしてきた」
FIFA=国際サッカー連盟を巡る汚職事件で、アメリカの司法当局は「腐敗を一掃する」と決意を述べ、スイスで逮捕されたFIFAの副会長らの身柄の引き渡しに向けた手続きを急ぐ方針を示しました。
アメリカ司法省は27日、副会長2人を含むFIFAの関係者9人を賄賂を要求するなどしたとして、またアメリカとアルゼンチンのスポーツ関連企業の幹部ら5人を賄賂を贈るなどしたとして、それぞれ詐欺などの罪で起訴したことを明らかにしました。
FIFAの関係者9人が24年にわたってすでに受け取ったり受け取ろうとした金額は、日本円にして185億円を超えるとみられています。
司法省のリンチ長官やFBI=連邦捜査局のコミー長官は記者会見で、不正は、サッカーの試合を放送する権利やスポンサーの権利などの取得、さらにワールドカップの開催地を決める投票やFIFAの会長選挙を巡って行われた疑いがあると指摘しました。
リンチ長官らは「サッカービジネスを腐敗させ、私腹を肥やしてきた」と厳しく批判したうえで、「腐敗が一掃されるまで捜査は続く」と決意を述べました。
今回の事件では、アメリカの要請を受けたスイスの司法当局が、チューリヒで副会長2人を含むFIFAの関係者7人を逮捕しています。
このうちの6人はアメリカへの身柄の引き渡しに難色を示したということですが、リンチ長官らは、スイスとの間の犯罪人引き渡し条約に基づいて手続きを急ぐ方針を示し、副会長などから直接事情を聴いて事件の全容解明につなげたい考えです。
■ブラジルW杯組織委会長も逮捕
この事件では、去年のワールドカップブラジル大会で組織委員会の会長を務めたブラジルサッカー連盟のジョゼ・マリア・マリン前会長も逮捕されました。
マリン前会長は元サッカー選手で政治家としてサンパウロ州知事を務めた経歴もあり、ブラジルサッカー連盟では2012年から先月まで会長を務めるなど実力者として知られています。
去年のワールドカップブラジル大会では組織委員会の会長として実務を取り仕切ったほか、来年のオリンピックでもサッカー競技を組織する委員会の委員を務めています。
ブラジルのメディアはマリン前会長の逮捕を朝のニュースから大きく取り上げ、スポーツ専門チャンネルのESPNブラジルは電子版で「ブラジル大会の開催都市選考過程なども捜査の対象になっている」と伝えたほか、サンパウロの有力紙、エスタード・デ・サンパウロは「2019年にブラジルで予定されている国際大会に絡んで2000万ドルの賄賂を要求した疑いがある」と伝えるなど国技とも言えるサッカーを巡る事件だけに、高い注目を集めています。
今回の逮捕についてブラジルサッカー連盟は「事件には連盟の幹部や企業家が関わっていることを踏まえ、連盟としていかなる捜査にも全面的に協力する」という声明を発表しました。(NHK)
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