■闇に埋もれた真実に迫る
<評論家・宮崎正弘が読む『日本人が目覚めた 国難の日本史』(藤岡信勝著)>
ありもしなかった嘘を並べ立てられ、無辜(むこ)の日本がどん底にまでおとしめられ、精神の混迷と錯乱状態が続く。
中国、韓国から仕掛けられた歴史戦を傍観する限り日本が元気になることはあり得ない。一日も早くこの国難から脱却し、健全な民族精神を回復しなければならないと願う著者は、その歴史戦の最先頭に立って言論戦を展開してきた。
本書はその過程で直面した難題、特に説明に困難をともなった歴史的事件を取り上げながら闇に埋もれてきた真実に迫る。
朝日新聞が昨年、慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言を虚偽だと認め、謝罪したという「事件」は、国内外で次の6点の処理を迫るものだと著者は説く。
第1に、国際的には河野談話が慰安婦強制連行の証拠とされている以上、朝日新聞の訂正を機に、河野談話は撤回されなければならないこと。
第2に、慰安婦を「性奴隷」とした国連のクマラスワミ報告は、吉田氏の著書が基本資料となってつくられた嘘の上塗りだから国連の委員会はただちにこれを撤回すること。
第3に、クマラスワミ報告を基になされた米国議会の非難決議はただちに取り消すべきで、カナダやEU議会なども同様であること。
第4に、韓国や米国に建てられた慰安婦像は根拠がなくなったゆえ、撤去すべきであること。
第5に、以上の嘘を基に書かれた米国の教科書の記述も削除すべきであること。
第6が、日本の全教科書から「慰安婦」の記述を一掃するように、文部科学大臣は教科書の訂正を全教科書会社に求めるべきであること。
本書は日本の歴史教科書の問題点を並べ、どこに誤謬(ごびゅう)があるかを次から次へとえぐりだした力作である。
特に切支丹バテレンの禁止から鎖国へ至るまで諸政策の変更に半世紀以上を要した経緯などは従来の陳腐な解釈を越える。
秀吉の刀狩り以後の軍備の問題、明治憲法の制定過程などを洗い直した個所なども大いに注目される。(ビジネス社・1600円+税)
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