19293 周永康に「無期懲役」判決 名門監獄「秦城」に収監   宮崎正広

■どうやら反腐敗という名の「権力闘争」、ここでいったん休戦へ

6月11日、新華社が突如、周永康の判決を報じた。非公開の裁判だったから、いきなりの無機懲役報道に驚いた人が多い。

司法、公安、検察をおさえ、暗黒街に君臨した「政法王」=周永康は「石油」利権を牛耳り、その一族は天文学的金額の私腹を肥やした。まさに中国の於ける長谷川平蔵は石川五右衛門と同一人物だったのだ。

権勢を奢った面影はなく、白髪となり、落剥の様子で裁判所(天津第一中級人民法院=地裁に該当)にあらわれた周永康は「無期懲役、財産没収」という判決に不服を申し立てず、上告はしない、とした。

収監される秦城監獄は「名門」の監獄である。これで1949年以来初めて、共産党トップ(常務委員)に実刑が下されることとなった。

それにしても、裁判を北京で開かず、天津へわざわざ裁きの場を移したのも、マスコミの目を避け、反対派の巻き返しを雲散霧消させる目的がある。

薄煕来の裁判も、北京から遠く、山東省で行ったように。

さて残る「大虎」は江沢民、曽慶紅、李鵬らだが、習近平、王岐山コンビの反腐敗キャンペーンは、おそらくここでいったん休戦となるだろう。

王岐山その人にスキャンダルが浮上し、米国の新聞が騒ぎ始めたことも影響しているが、相次ぐ幹部の失脚に党内がささくれ立った雰囲気となり、自分たちが党内で浮き上がった存在になったことに気がついたからだ。

第一に江沢民一派の巻き返しが凄まじく、第二に軍には不満が蔓延していること、第三に団派が習近平との連立政権に、距離をおきはじめ、つぎに行動を起こす可能性が高まっているからである。

 ▲団派も巻き返しへ次の行動をとるだろう

団派は第十八回党大会での惨敗からしばし立ち上がれなかった。というのもトップセブン入りを予想されていた王洋と李源潮が政治局員にとどまり、常務委員には上海派の張徳江、劉雲山、張高麗、愈正声の四人が滑り込んで、団派からは李克強ただひとりだった。

そのうえAIIB、BRICS、シルクロードという三つの大プロジェクトの所管を李克強首相の所管から外した。

団派のライジングスターだった令計画の失脚に対する恨みも消えていない。

とりわけ王洋は首相候補にあがるほどの実力を示したが、しばらくなりを潜めたのち、米国との戦略対話で中国側を代表することとなり、なんと昨年米国での対話では「われわれはアメリカの決めたルールに従う」と表明し、露骨に習近平路線と反対の立場を露わにした(22日から次の米中戦略対話が開催される)。

他方、暗殺、クーデターを懼れる習近平は首都の北京を守る軍と武装警察のトップを交代させ、中南海を護衛するボディガードをがっしりと固めた(詳しくは拙論『ボイス』今月号を参照)。

すでに江沢民、曽慶紅ならびに李鵬系列の旧側近らを拘束し、さらには彼らの影響力が強い国有企業幹部も取り調べを行っている。この過程で江沢民の息子が国有機関の役職(上海科学院副理事長)から降ろされていたことも判明した。

11日に、もうひとつ分かったことがある。

李鵬が握ったのは電力利権で、娘の李少琳が国有「中国電力投資集団」「中国電力国際発展公司」「中国電力新能源発展公司」のボスの座にどっかと胡座をかき、2011年には「アジアで影響力をもつビジネスウーマン」にも撰ばれたものだった。

新幹線車両などをつくる中国北車と南車が統合・合併するように、産業の再編過程において前述「中国電力投資集団」と「新能源発展」が合併する。ところが、この新会社の役員名簿に李少琳の名前がないことが分かった。

つまり習近平・王岐山コンビは、こうした搦め手という老獪狡猾な方法で、守旧派、上海派の政治的影響力を低減させて、事実上、コーナーへ追い込む作戦に傾いており、よって、当面のところ、どろどろとして血みどろの権力闘争は休戦にはいると見られるのである。

 
<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>

コメント

タイトルとURLをコピーしました