■気象庁「ごく小規模」
火山活動が活発化していた浅間山(群馬、長野両県境)について、気象庁は16日午前、ごく小規模な噴火が発生したもようだと発表した。
気象庁によると、同日午前9時半ごろに噴火したとみられるが、噴煙などの状況は視界不良で不明だとしている。浅間山の噴火は平成21年5月27日以来。
浅間山では、4月下旬ごろから山頂直下の浅いところを震源とする身体に感じない火山性地震の増加傾向が続いていた。そのため、気象庁は6月11日、約5年ぶりに噴火警戒レベルを「1」(活火山であることに留意)から「2」(火口周辺規制)に引き上げていた。
気象庁によると、16日は午前8時10分すぎから火山性微動を観測。これまでの微動は1、2分程度の長さだったが、今回は午前11時半現在まで非常に長く続いているという。
火山性地震も起きているが、15日と比べ特段の変化もなく、今回の噴火に伴う空気の振動なども観測されていない。このため、気象庁はごく小規模な噴火とみて、警戒レベルの引き上げは行わないとしている。
降灰は浅間山の北約4キロにある、過去の噴火での溶岩が風化して形成された奇勝「鬼押出し」(群馬県嬬恋村)であったという。
東大から連絡を受けた気象庁の浅間山火山防災事務所が付近の観光施設に確認したところ、車にごく微量の灰が付着していることなどが判明し、噴火を判断したとしている。気象庁は、機動観測班を派遣し詳しい調査を実施する。
また、今回はレベルのさらなる引き上げは行わないが、気象庁は「火口から約2キロの範囲で大きな噴石が飛ぶ噴火の恐れがある」などとして、引き続き警戒を呼びかけている。
浅間山は有史以来断続的に噴火を繰り返してきた活火山で、中央防災会議の調査報告書によると、天明3(1783)年に発生した大規模なマグマ噴火「天明の大噴火」の際には1600人以上が犠牲になった。現在の観光名所である「鬼押出し」はこの時に流れ出た溶岩でできた。
20世紀以降もたびたび噴火しており、昭和16年には年間398回、29年には287回の噴火があった。平成21年の噴火では火口から約1キロ先まで噴石が飛び、灰は関東地方南部まで到達。その後は落ち着いた状態となり、22年4月に警戒レベルが「1」に引き下げられていた。(産経)
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