■北から見たDMZ(非武装地帯)とは
平壌(CNN) 韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線付近の非武装地帯(DMZ)。韓国側からの訪問者が多いDMZだが、北朝鮮側から見た光景はどうなっているのか。このほど北朝鮮に招かれたCNNのウィル・リプリー特派員が現地を訪れた。
リプリー特派員を案内したのは北朝鮮軍のナム・ドンホ中佐。ナム氏はDMZについて、「地球上で最も緊迫した場所」と述べる。
ナム氏が属する北朝鮮の常備軍の兵士は100万人超。そのうち4分の3近くの兵士がDMZ付近に配置されている。中には武装して無表情のまま立ち、脅威とみなされる全ての動きに対して即座に反撃できる態勢を整えている兵士の姿も見られる。兵士の警戒態勢は韓国側でも同様だ。
この休戦ラインは、1953年に朝鮮戦争が終結して以来、北朝鮮と韓国を分断してきた。和平合意が署名されることは無かったため、厳密には両国は依然として戦争状態にある。
西側の歴史家の多くは、北朝鮮が戦争を開始したとの見方を示しているが、ナム氏は米国が真の元凶だとし、「米国人はいまだに真実を認めない」と話す。
軍事境界線に近づくと、明らかな緊張感が伝わってくる。DMZでは休戦後も幾度か戦闘が勃発し、死者を出してきた。「何らかの事態が本当に勃発する危険はあるか。その可能性は常時あるのか」と尋ねると、ナム氏は「その通りだ」と答えた。
南北の境界線にまたがる建物に入ると、さらに深刻な危機に関する警告の言葉がナム氏の口をついた。「米国人は朝鮮戦争以来、核兵器で我々を威嚇してきた」。
なぜ北朝鮮は核開発を続けるのかと聞くと、「米国の核の脅威に対抗するため。我々が核武装する理由はまさにこれだ」との答えが返ってきた。
米紙ウォールストリート・ジャーナルが先ごろ報じたところによると、中国の核専門家は米国に対し、北朝鮮が最大20個の核弾頭を保有している可能性があると警告したという。同紙の報道ではまた、北朝鮮が来年までに、兵器級ウランを使用して核弾頭の数を倍増させることができるとも伝えられている。
最近では、北朝鮮がミサイルに核弾頭を搭載する能力を持っているとの見方も浮上していることから、同国の核開発はなおさら懸念される。
米北方軍のウィリアム・ゴートニー司令官(海軍大将)は4月、記者団に対し、北朝鮮が核兵器を米本土西海岸に運ぶ能力を持つ大陸間弾道ミサイルを開発したとの認識を示した。ただ、こうしたミサイルの発射実験はまだ行われていないと米当局者はみている。
ナム氏はDMZで、核兵器を保有する国が攻撃された例は過去にないと指摘。「北朝鮮と米国の間で再び大規模紛争が勃発すれば、米国そのものがグラウンド・ゼロと化すだろう」と語った。(CNN)
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