19379 「ISIS」に参加したイスラム過激派に分裂含みの変動   宮崎正広

■中央アジア出身の過激派は四分五裂、しかも外人部隊をやめ故国へ帰る態勢に

現在、ISISに参加している中央アジア出身の過激派は新彊ウィグル自治区、タジキスタン、ウズベキスタン、カザフスタンなどからだが、ロシアからもチェチェンなどのイスラム教徒がおよそ1700名、もっとも後者はISISの軍事組織の中核である。

タジキスタンから300名、キルギスから330名、ウズベキスタンから数百、そして中国の新彊ウィグル自治区からおよそ300名と見積もられている。

このウィグル人の武装集団は「TPI」という。

トルキスタン・イスラム党の略称である。かれらの大半がアフガニスタンにあるISIS系列、あるいはアルカィーダの秘密軍事基地で訓練をうけて、トルコ経由シリアへ潜入した。

中国がもっとも神経をとがらせて行方を追っている集団である。
 

これまでTIPの上部組織と見られていたのが「IMU」(ウズベキスタン・イスラム運動)である。しかしIMUは、カリモフ大統領独裁に対抗し、いずれウズベキスタンをイスラム原理主義国家にしようとして、これまではタリバンとの共同行動が多かった。

過激活動を通じて、IMUは、ISISの「イスラム国」という新国家形式に目覚めたのである。

IMUは1990年代にフェルガナ盆地で結成され、アフガニスタン北部へ移動して、その中の一部がシリアへ渡った。

IMUはISISの主力メンバーとなったが、どうやら本家=アフガニスタンのIMU本部とはそりが合わず、アルカィーダと協調し始めている。

アフガニスタンの指導者オマル師とも、そりが合わず、タリバンは、いまや弱体化したという分析も欧米ではなされている。

タジキスタンの過激派は、もと内務省秘密警察司令官が率いていると言われ、ISISから離脱しタジキスタンへ帰国し、同国をイスラム原理主義国家にすると息巻く。これも「イスラム国」という国家形成のスタイルに刺戟を受けて、ISISから分離しようとうごめくのだ。

TPI(トルキスタン・イスラム党)は新彊ウィグルからシリアへやってきた過激派だが、殆どがウィグル人、ここにウズベク人と若干の中国系カザフ人、そして少数のロシア国籍の軍人が混ざり、中国がもっとも神経をとがらせる組織だ。

このTPIが、JN(ジャブハタアルナスラ)と共同作戦で、シリア政府軍との戦闘で勝ちシリア北部の都市イドリブを落とした。サウジ、カタール、トルコから支援がなされている。

かれらは優れた火砲をもち、新型機関銃で武装しており、一部の報告では1000名規模に膨れあがっているという。

 ▲かれらはシリア北西部の拠点を抑えた

シリア北西部の所謂「ISIS占領支配地」=イドリブは、かくしてJN,TPI主力の混成部隊が抑え、堂々と「東トルキスタン」の旗をたてている。

立場を鮮明にしたのである。このため、ISIS本部とは意見の相違がくっきりと出てきた。

かれらは「イスラム国」樹立ではなく、新彊ウィグル自治区を「東トルキスタン」として独立させるための下準備、訓練が目的でシリアに入り込み、名目上は「ISIS」の傘下となって居たわけだ。

とくにシリア西北部とイラク西部を抑えたという意味は、ISISから離脱する可能性があり、かれら過激派連合がイドリブを支配したということは、新兵リクルートの通り道、そして支援物資の兵站ルートを抑えたという軍事的に大きな意味をもつのである。

さてTIPの今後だが、これまで共闘してきたIMU(ウズベキスタンイスラム運動)から離れるのは決定的となったようだ。

TIPは、もともとアフガニスタン、パキスタン国境にいたころからシリアへの移動を開始し、2013年にはアフガニスタンで殆ど目立たなくなっていたのだ。

新彊ウィグル自治区は中国の暴力的支配、圧政に立ちむかった多くのウィグル人があり、北京天安門広場での自爆テロ、雲南省昆明駅での無差別テロ、広州駅やウルムチ駅での自爆テロ、そのほかの事件がある。

自爆テロをおこなう未組織の、あるいは未確認のグループがあり、TIPの組織構成員とは別の集団と考えられてきたが、TIPは「あの自爆テロも自分たちだ」と政治宣伝を展開している。

いずれにしても、中国に於けるウィグル人のイスラム原理主義過激派が、これから内外でますます荒れるのは、確実ではないのか。

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