19404 ギリシャ、捨て身の瀬戸際戦術・国民投票   古沢襄

■国民投票で「ノー」と出るか、「イエス」と出るか

五日に国民投票を呼びかけたチプラス首相の思惑通り、ギリシャ国民がEUの財政再建策への「ノー(EU案受け入れ拒否)」の態度を示せば、ギリシャのユーロ圏離脱が目前のものとなる。

だが、チプラス首相の読みはユーロ圏離脱ではなかろう。ドイツのメルケル首相に代表される強硬な財政緊縮策に対して”譲歩”を引き出す捨て身の作戦だったといわれている。

国民投票の結果、EU案受け入れが僅差でもギリシャ国民の意志となれば、EUとの交渉が続くであろう。

EUとてギリシャのユーロ圏離脱を手放しで望んではいない。それがスペインなどに波及することを怖れている。フランスのサパン財務相は国民投票で緊縮策に賛成となれば、ユーロ圏各国はすぐさま合意に向けた作業に戻ると述べている。

■[マドリード 2日 ロイター]フランスのサパン財務相は、5日に予定されるギリシャの国民投票について、緊縮策に反対となればギリシャはユーロ圏から離脱することになり、賛成となればユーロ圏各国はすぐさま合意に向けた作業に戻ると述べた。
 

サパン財務相はiTELEとのインタビューで「フランスは昨日まで努力してきた。合意は可能だと確信していたからだ。(ただ)『ノー』と言っている相手とは合意できない」と指摘。ユーロ圏財務相はそうした姿勢を取ることで意見が一致したという。
 

その上で同相は、フランスとしてはギリシャにユーロ圏にとどまってほしいと語った。
 

同相は「ギリシャ国民は『ノー』に投票するかもしれない。それはわからない」と発言。「その場合、私たちは未知の領域、経済の下方スパイラルに入るだろう。特にギリシャはそうだ。それは、自動的ではないが、ギリシャのユーロ離脱につながる可能性がある。ギリシャにとって良いことだとは思えない」と述べた。
 

またスペインのデギンドス経済相も、ギリシャの国民投票に言及。債権団の改革案受け入れを拒否した場合でも、ユーロ圏はギリシャ政府との協議を引き続き受け入れると表明した。
 

デギンドス経済相はラジオ局とのインタビューで「すべてのドアは開かれている。もしギリシャ国民が改革案受け入れに賛成すれば、同国政府は支援協議を継続するだろう。

だが、反対したとしても、われわれはギリシャ政府との協議を受け入れ続ける」と発言。「支援協議の決裂は(ギリシャのユーロ圏離脱などの)結果を生むかもしれないが、誰もがギリシャに残ってもらいたいと考えている」と述べた。(ロイター)

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