19436 書評『日本の心は銅像に合った』   宮崎正広

■遠山正瑛の銅像 中国の砂漠化に心を痛め、ポプラ百万本を植えた

<渡部昇一監修、丸岡慎弥著『日本の心は銅像に合った』(育鵬社)>

銅像を見上げながら、この本の著者は偉人達の物語を綴った。こういうアングルの本は珍しい、というより稀有である。

日本人がもっとも親しんでいる銅像と言えば、楠木正成、二宮金次郎、和気清麻呂、西郷南州と相場が決まっているが、本書には道元、真田幸村、吉田松陰、木戸孝允、大久保利通、宮本武蔵、加藤清正、勝海舟にまじって紫式部と八田輿一が加わり、石田梅岩、中江藤樹も加わっているが、あれ、和気清麻呂と西郷隆盛がない。

かわりに吉田茂だ。知らない人がふたりいる。森信三と遠山正瑛。

後者の遠山正瑛は、何をした人なのかといえば中国の砂漠化に心を痛め、ボランティアとして植林事業を興し、ポプラ百万本を植えた。中国に感謝されて銅像が建てられた稀有の日本人だという。

日本人で中国に銅像があるのは、あと阿倍仲麻呂くらいだろう。それも西安の公園に立っていたが、数年前の反日暴動のおり、赤ペンキを浴びせられるという被害をうけた。その心の狭さと蔵ぶれば、日本は銅像にも心を籠めるのだという。

 
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