■候補の「佐渡鉱山の遺跡群」
2017年の審議に向けて世界遺産候補に名乗りを上げている4候補のうち、「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟県)の鉱山には、「明治日本の産業革命遺産」と同様に朝鮮半島出身者が働いていた歴史がある。
日本が世界遺産への登録申請を決めれば、韓国との対立が再燃する可能性がある。
韓国外交省報道官は5月の定例記者会見で「佐渡鉱山の遺産群」に触れ、「日中戦争以来、約1000人程度の朝鮮人が強制労働をしたと把握している。登録推進の動きを注視している」と述べた。
韓国紙「文化日報」は、韓国政府関係者の話として、「日本が登録を推進すれば、『明治日本の産業革命遺産』のように外交問題になる可能性がある」と指摘している。
「佐渡鉱山の遺産群」を構成する7資産は3鉱山を含む。新潟県によると、相川金銀山では1940年から42年にかけ、募集に応じて訪れた朝鮮半島出身の労働者計約1000人を受け入れた記録があるという。
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世界遺産登録をめぐっては近年、政治問題化するケースが相次ぐ。
2011年の世界遺産委員会では、イスラエルが申請した古代遺跡「ダンの3連アーチ門」が問題となった。「明治日本の産業革命遺産」と同様、ユネスコ諮問機関は世界遺産への登録を勧告していたが、アラブ諸国が、領土問題が未解決だとして、登録は不適切だと主張。審議延期が決まり、登録は棚上げされた。
ユネスコ諮問機関の勧告が覆されたケースもある。12年に「危機に瀕ひんしている世界遺産」(危機遺産)への登録が決まったパレスチナの「聖誕教会」について、諮問機関は「危機に直面していない」と判断していた。
だが、世界遺産委員会でセネガルが異議を唱えた。投票の結果、賛成多数で登録が決まった。
東南アジアでは、08年に世界遺産登録されたカンボジアの「プレアビヒア寺院遺跡」が紛争の種となった。登録決定後、遺跡周辺の帰属をめぐるタイとの緊張が高まり、双方の武力衝突に発展した。(読売)
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