19540 蚊帳の外、いらつく舛添東京知事「政府から相談ない」   古沢襄

■負担額交渉、振り出し宣言

2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場をめぐり、費用の一部負担を求められる東京都の舛添要一知事が再びいらだちを募らせている。

2520億円もの巨額に及んだ計画見直しが表明される中、「政府から何の相談もない」と“蚊帳の外”に置かれている。負担額算定に向け遠藤利明五輪相と合意した国と都の作業チーム設置も滞り、負担交渉の先行きは不透明だ。

 ■不快感あらわ

「全く一言も情報をもらってないので、答えようがない」。今月15日に政府の計画見直し案が浮上した直後、舛添知事は報道陣にそう繰り返した。

下村博文文部科学相の対応を批判するにあたり、これまで「私は官房長官とも首相とも、極めてコミュニケーションがよくとれている」と連携を強調していた舛添氏。

だが、17日の会見では「一切相談もない」「朝令暮改でやるなと言いたい」と不快感をあらわに。作業チームをめぐる動きについても「(政府が計画を)白紙にするのであれば、われわれもゼロからやり直すと言うしかない」と“振り出し”に戻すことを宣言した。

20日には自らのブログで「文部科学省は無能力・無責任で、これが最大の失敗の原因」と指摘。

安倍晋三首相をトップに関係閣僚らによる「新国立競技場建設本部」を組織すべきだとしている。また、「失敗の第2の原因は、一部の政治家や関係者やゼネコンなどが密室で議論したことにある」と国民を巻き込んでの合意形成が必要とした。

 ■批判繰り返す

舛添知事は首相が計画見直しを表明して以降、ツイッターで政府批判を強めている。「主張の整合性より内閣支持率が優先か」「これだけ大きな政策転換をするのならば、大失策の責任者の更迭は当然」「今の体制のままでは、また失敗する」と書き込み、ゼネコン関係者らを国会に参考人招致すべきだと提言した。

5月18日に下村文科相から500億円の負担要請を受けて以降、舛添氏はたびたび怒りを爆発させた。

「誰も責任をとらない体制は、大日本帝国陸軍と同じだ」と文科省を激しく批判。5月下旬には「役人による中間報告は不要」として、整備計画の進捗(しんちょく)を報告しようとした文科省幹部の来庁を拒否した。

それ以降は、都の職員が文科省側と連絡を取り合うことが事実上禁止され、両者の関係に決定的なひびが入ったが、「けんかをしているんじゃない」「今はうみを出す作業をやっている」と取り合わなかった。

■蜂蜜で「甘く」

風向きが変わったのは6月18日、大会組織委の森喜朗会長との会食以降だ。森会長から石川県産の蜂蜜を手渡され、「学者だから言い方がきつい。甘くなるように」とたしなめられると態度は一気に軟化。

今月7日の有識者会議でも「国の責任でしかるべきものを、きちっと造っていただきたい」と述べ、総工費2520億円に及ぶ建設計画に“ゴーサイン”を出していた。

「知事には都が整備する競技場の計画を見直し、コスト削減を進めてきた自負がある。コスト度外視の国に腹に据えかねたのだろう」とある都幹部。

だが、安倍首相による「白紙」表明後の再びの“辛口化”に、あるベテラン都議は「外から厳しく批判するだけが政治ではない。内側に入り込み、物事を解決できるような力量がほしい」と苦言を呈した。(産経)

 
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