人類史上初めて核兵器の惨禍に見舞われた広島は原爆投下から70年となる「原爆の日」を迎えました。
広島市の平和公園にある原爆慰霊碑の前では鎮魂の祈りをささげる人の姿が途切れず、被爆地・ヒロシマでは、国内外に平和な世界の実現に向けたヒロシマの誓いを発信する節目の1日が今も続いています。
午前8時から広島市の平和公園で行われた平和記念式典には、海外から過去最多となる100か国の代表を含むおよそ5万5000人が参列しました。
式典ではこの1年間に亡くなった人や新たに死亡が確認された人、5359人の名前が書き加えられた29万7684人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められました。そして、原爆が投下された午前8時15分に全員で黙とうし、原爆で亡くなった人たちを追悼しました。
広島市の松井一実市長は「平和宣言」で、「私たちの故郷(ふるさと)には、温かい家族の暮らし、地域の絆、子どもたちが遊ぶ川辺などがありました。そのすべてが一発の原子爆弾で破壊されました」と述べました。
そのうえで、「『非人道の極み』、『絶対悪』である核兵器の廃絶を目指さなければなりません。核兵器廃絶と核兵器禁止条約の交渉開始に向けた世界的な流れを加速させるために強い決意を持って全力で取り組みます」と誓いのことばを述べました。
さらに、「武力に依存しない幅広い安全保障の仕組みを創り出していかなければなりません。日本国憲法の平和主義が示す真の平和への道筋を世界へ広めることが求められます」と呼びかけました。
このあと安倍総理大臣があいさつし、「わが国としては、核兵器国と非核兵器国、双方の協力を引き続き求めつつ、『核兵器のない世界』の実現に向けて、一層の努力を積み重ねていく決意です。この決意を表明するため、ことし秋の国連総会では新たな核兵器廃絶決議案を提出します」と述べました。
6日の広島市は日中の最高気温がことし最も高い35度5分と70年前のきょうのように暑い1日となりました。平和公園にある原爆慰霊碑の前には、日がかげり始めた夕方以降も仕事を終えた人などが長い列を作り、静かに手を合わせて祈りをささげています。
29歳の妻と1歳の長男と一緒に手を合わせていた30歳の男性は「きょうは仕事を少し早めに切り上げて来ました。絶対に忘れてはいけない日だと思うので、息子が大きくなったら原爆のことをしっかりと伝えていきたいです」と話していました。鎮魂の祈りに包まれるなか、原爆投下から70年となった被爆地・ヒロシマでは国内外に平和な世界の実現に向けたヒロシマの誓いを発信する節目の1日が今も続いています。(NHK)
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