19653 大型潜水艦「伊402」か、長崎沖で発見   古沢襄

■長崎県五島列島沖の海底にある伊402とみられる船体。カタパルトのレールのような物が見える(日本テレビから)

出撃せずに終戦を迎え、米軍に沈められた旧日本海軍の大型潜水艦「伊402」(全長約120メートル)とみられる船体が、長崎県の五島列島沖の海底で見つかった。

海上保安庁が7月に船影を確認し、日本テレビが今月に入って撮影に成功した。同沖に沈められたことは判明していたが、初めて存在が確認された。

爆撃機を3機格納できる当時世界最大級の潜水艦の開発は、連合艦隊の司令長官だった山本五十六の発案とされ、米国本土への攻撃に使用する計画があったという。

同じ型の伊400と伊401は1945年7月に出撃したが、戦闘に参加する前に終戦。同月に完成した伊402は出撃すらしなかった。

いずれも終戦後に米軍が接収。伊400と伊401はハワイ沖に沈められ、伊402は46年4月、ほかの潜水艦23隻とともに五島列島沖に沈められた。(読売)

■五島沖で船影 旧海軍の潜水艦20隻以上か NHK

長崎県五島列島沖で、海上保安庁の測量船が海底に沈む20隻以上の旧海軍の潜水艦とみられる船影を確認しました。

専門家はさらに詳しい調査が必要だとしたうえで、戦争の記憶が薄れるなか、終戦70年の節目に当時を思い起こすきっかけになる発見だと指摘しています。

先月、長崎県沖で海上保安庁の測量船「海洋」が音波を使って海底の地形を調査していたところ、五島列島の福江島の東およそ35キロ沖合の水深200メートルの海底で複数の船影を確認しました。

船影は東西4キロ、南北2キロの範囲に、合わせて24か所で確認され、海上保安庁は過去の記録から、終戦の翌年の昭和21年4月、アメリカ軍が処分した旧海軍の24隻の潜水艦ではないかとみています。

船影のうち最も大きなものは、長さおよそ120メートル、幅15メートル、高さ10メートルあり、海上保安庁は、太平洋戦争当時世界最大だった旧海軍の潜水艦「伊402」ではないかとみています。

アメリカ軍はこの海域で、伊402のほかに、全長45メートルから109メートルの潜水艦を処分したということで、海底では長さおよそ50メートルから100メートルの船影も確認できるということです。

■潜水艦「伊402」とは

海上保安庁などによりますと、旧海軍の潜水艦「伊402」は全長およそ122メートルの、太平洋戦争当時世界最大の潜水艦でした。3機の水上爆撃機を格納でき、旧海軍がアメリカ本土やパナマ運河への攻撃を想定して建造したとされています。

海上保安庁などによりますと、「伊402」は長崎県沖に沈められましたが、同じタイプの潜水艦のうち「伊400」と「伊401」は、終戦後、アメリカ軍が詳しく調査したあとハワイ沖に沈められました。

このうち「伊400」は、おととし、ハワイ・オアフ島の沖合の水深700メートルの海底で発見されています。また「伊401」も、平成17年、ハワイ・オアフ島の沖合の水深870メートルの海底で発見されています。

■海保の測量船が船影確認

海上保安庁海洋情報部は、測量船を使って日本周辺の海底の地形データを定期的に更新していて、ことしは長崎県沖などで調査を行っています。

海上保安庁の測量船「海洋」は、船の底から海底に向けて音波を発信し、跳ね返ってきた音の方向や時間で詳細な地形を把握することができる船で、今回の海域と同じ水深200メートルの場合、5分間で1.5キロ四方のデータを収集することができます。

アメリカ軍が終戦後に今回の海域で旧海軍の潜水艦を処分したという記録があることから、海上保安庁は、測量船が付近を航行する場合、併せて調査してきたということです。

ことし4月、「海洋」とは別の測量船が付近を調査したものの発見されず、「海洋」が今回の海域を調査したところ、先月14日、それらしい船影を確認したということで、さらに3日後の17日に詳しく調査し、潜水艦とみられる船影が確認できたということです。

■ことしは戦艦「武蔵」も見つかる

終戦から70年となることし、フィリピン沖では、太平洋戦争末期に撃沈された、当時世界最大級の旧海軍の戦艦「武蔵」が見つかったと発表されました。

アメリカの資産家、ポール・アレン氏が率いる探査チームが、ことし3月発表したもので、武蔵が沈没したシブヤン海の水深1000メートルの海底で撮影された映像には、特徴的な艦首や主砲の砲台とみられる部分が映し出されました。

武蔵は昭和19年10月、フィリピンのレイテ湾に向かう途中でアメリカ軍に撃沈され、およそ2400人の乗組員のうち1000人余りが犠牲となりました。

■「当時を思い起こすきっかけに」

広島県呉市にある「大和ミュージアム」の館長で、旧海軍の歴史に詳しい戸高一成さんは「実物を見ることでしか分からないことがあるので、今後、詳しく調査をして歴史の資料としてほしい」と述べ、さらに詳しい調査が必要だとしたうえで、「これまでの文献などから旧海軍の潜水艦であることは間違いないだろう。これだけの数の潜水艦がまとめて確認されたとなれば大きな意義があり、戦後70年となり戦争の記憶が薄れていくなかで、当時のことを忘れずに思い起こすきっかけになる発見だ」と指摘しています。

ことしは旧海軍の戦艦「武蔵」が見つかったと発表されており、戸高さんは、「運命的なものを感じる。多くの人に戦争を忘れないでほしいということではないか」と話していました。(NHK)

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