■安倍首相との面会時間から人事を予測すれば・・・
自民党の二階俊博総務会長は9日、埼玉県内で開いた派閥研修会で、9月の党総裁選での安倍晋三首相(党総裁)の再選支持を明言した。
首相の無投票再選の流れは加速しており、早くも党内の関心は10月にも行われる党役員人事に移り始めている。首相と「戦略的互恵関係」にある二階氏や、財政政策で官邸とすきま風が生まれた稲田朋美政調会長の処遇は焦点の一つ。党四役と首相との距離感を官邸での面会時間などから探った。
「派閥は一致団結して行動してこそ、力を発揮できる。われわれのグループは全員一致して、安倍氏を次期総裁選に推薦する」
二階氏は9日、埼玉県秩父市で開かれた二階派研修会でこう宣言。同派を安倍氏の支持一色で染め上げたとアピールした。
安全保障政策などでは首相と水と油の関係だが、派閥領袖(しょうりゅう)としていち早く首相の無投票再選を訴えるなど両氏の関係は健在だ。
安全保障関連法案が国会に提出された5月から今月9日までの間、首相との首相官邸での面会時間をみてみると、二階氏は6回、計2時間55分に及ぶ。
訪中直前の5月19日には、首相から中国の習近平国家主席への親書を預かる算段もつけた。二階氏は韓国ともパイプがあり、首相は冷え込んでいる日中・日韓関係の改善に向けた「特命大使」としても期待を寄せる。
とはいえ、二階氏は権力への嗅覚が鋭い老練政治家。首相周辺は「いつ寝首をかかれるか分からない」と警戒心も捨てきれない。二階氏との戦略的互恵関係を続けるかどうかは判断の難しいところだ。
党四役のなかで首相との面会時間、回数ともに最多なのは谷垣禎一幹事長だ。
計11回、6時間28分にのぼる。石破茂前幹事長は首相と疎遠だったが、谷垣氏は週1回ペースで首相と昼食を取りながら意見交換を繰り返してきた。
「官邸に弓を引かない」(党幹部)という姿勢を、首相も全幅の信頼を置いているとされ、党内では、今秋以降も安倍-谷垣体制が続くとの見方が強い。
首相が「次世代の首相候補」と期待を寄せる稲田氏は4回で計2時間4分。稲田氏の政調会長への抜擢(ばってき)は首相の肝いり人事だった。
しかし、自民党が6月に政府に提出した財政健全化に関する提言では、歳出額の目標設定にこだわる稲田氏は、経済成長優先の甘利明経済財政担当相と対立するなど物議も醸した。
自民党ベテランからは「調整型の役職はまだ無理だった」とのマイナス評価もあるが、官邸筋は「稲田氏が留任するか、再入閣の可能性もゼロでない」と指摘する。
茂木敏充選対委員長は党四役の中で最も少ない2回で計1時間13分。ただ来年夏の参院選に向けた候補者調整を進めており、留任もありそうだ。(産経)
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