■今秋、ドラマ放送予定
第二次大戦が終結してから今年で70年。この大戦では米英の連合国(United Nations)に対し、日独の枢軸国(Axis Powers)は敗北した。
だが、その歴史が逆だったら、世界はどうなっていたか。この「if」の世界を描くドラマが今秋、公開される。
制作はエイリアンやブレードランナーを手がけた、あのリドリー・スコットだ。すでに予告編が出来上がり、ネット上に公開されている。
原作はアメリカのSF作家、フィリップ・K・ディックの小説「高い城の男」(The Man in the High Castle)だ。日本国内では早川書房から邦訳版が出版されている。
小説では、第二次大戦で日独の枢軸国が米英の連合国に勝ち、地球を分割・統治している世界を描いている。現実では戦勝国の筆頭的存在で、国際社会の覇権を握った米国はロッキー山脈を境に日独によって東西に分割されている。
ヨーロッパと西シベリア、中東、アフリカ南部、ブラジル、北米東部を支配するドイツに対し、日本は中国などのアジアと東シベリア、それに北米から南米に至る西海岸、いわゆる環太平洋地域を支配するスーパー・パワーとして登場する。
ヒトラー時代以上に人種隔離政策を進めるドイツに対し、日本は人種政策や民族問題に関しては寛容な国として描かれている。現実の世界で米ソが冷戦となったように日独も冷戦となっている。
枢軸国の一角を占めていたイタリアはバルカン半島やアフリカの東部と北部を統治するが、ドイツの衛星国のような存在となっている。
この枢軸国が勝った世界で、「米英の連合国が勝っていたら?」という設定の小説「イナゴ身重く横たわる」が出版される。
つまり「if」の世界の中で、さらに「if」の問いかけがなされる。ドイツの敗北を描いた作家はその報復から逃れようと、「高い城」と名付けた要塞のような屋敷に身を隠す。小説の題名はここに由来する。
■フィリップ・K・ディック=1928年生まれ、1982年に死去した。
1950年代から短編小説を書き始め、「最も重要なSF作家の一人」と呼ばれるまでになった。これまでにも作品が映像化されており、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は「ブレードランナー」となり、「追憶売ります」は「トータル・リコール」となった。(産経)
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