19794 安全保障関連法が成立したが・・・   古沢襄

中国が尖閣諸島でゴリ押しの領海侵犯を繰り返す強引な出方をしなかったら、集団的自衛権をめぐる世論は寝たままだったろうと思っている。中国は何故、寝た子・日本を起こしてしまったのか・・。

米国も頼りにならない・・と思った時もあった。安全保障関連法の成立は、これらの懸念を払拭する面があるのではないか。といって日本が米国と一緒になって、地球の裏側まで自衛隊を送って戦争を仕掛けるなんて馬鹿げた話はあり得ない。

日本の安全保障にとって、いま喫緊の脅威は東支那海と南支那海の緊張状態である。日本が米国と一緒になって、これらの海域で抑止の姿勢をみせれば、中国とて無謀な軍事行動には出れないであろう。

■安保法成立を歓迎=平和への献身は「模範」-米政府

 
【ワシントン時事】米国務省と国防総省は18日、日本の安全保障関連法の成立を受け、「新たな法制に反映されているように、同盟を強化し、地域・国際社会の安全保障活動で、より積極的な役割を果たそうと日本が継続的に努力していることを歓迎する」とのコメントをそれぞれ出した。

両省はこの中で「日本は過去70年間、平和、民主主義、法の支配への不変の献身を行動で示してきた。この実績は全ての国の模範になる」と強調した。

ただ、コメントはいずれも両省の報道担当者名にとどまり、これまでの米政府の声明などをなぞる内容。採決に日本国民の多くが反対したほか、韓国などで日本の「軍事大国化」を懸念する声が出ていることに配慮した可能性もある。 

一方、連邦議会からは「増大する脅威に対する適切な反応だ」(共和・フォーブス下院海軍力・軍事態勢小委員長)と安保法成立を評価する声が上がった。(時事)

■安保関連法成立…集団的自衛権、限定行使可能に
 

今国会で最大の焦点となっていた安全保障関連法は19日未明の参院本会議で、自民、公明、元気、次世代、改革の各党などの賛成多数で可決、成立した。

同関連法の成立により、従来の憲法解釈では認められなかった集団的自衛権の行使が可能になる。戦後日本の安全保障政策は、歴史的な転機を迎えることになる。

衆参両院の特別委員会での審議は計約220時間に達し、安全保障に関する法律では、記録が残る中で最長となった。

安保関連法は、自衛隊法など既存の法律10本をまとめて改正する一括法「平和安全法制整備法」と、自衛隊の海外派遣を随時可能にする新たな恒久法「国際平和支援法」の2本からなる。

一括法は、政府が昨年7月に憲法解釈を変更して閣議決定した「武力行使の新3要件」を盛り込み、集団的自衛権を限定的に行使するための手続きを定めている。朝鮮半島有事などを念頭に、米国など日本と密接な関係にある国が第三国から武力攻撃を受け、日本の存立や国民の権利が脅かされる「存立危機事態」となった場合、自衛隊が必要最小限度の武力を行使できる。

米軍への補給や輸送といった後方支援も拡充し、平時から有事まで切れ目のない日米連携を可能にする。(読売)

■安全保障関連法 参院本会議で可決・成立

今の国会の最大の焦点である、集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法は、19日未明の参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と次世代の党などの賛成多数で可決され、成立しました。これにより、戦後日本の安全保障政策は、大きく転換することになります。

今の国会の最大の焦点である、集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障関連法案は、17日、審議を続けてきた特別委員会で、民主党などが抗議する中、採決が行われ、自民・公明両党と次世代の党などの賛成多数で可決されました。

これを受けて、19日午前0時10分から開かれた参議院本会議で審議が行われました。

最初に法案に賛成・反対双方の立場から5党による討論が行われ、このうち、自民党の石井参議院国会対策委員長代理は、「集団的自衛権の限定的な行使容認によって、日米同盟をより強固にして戦争を未然に防ぎ、わが国の安全を、より確実なものにできる。安全保障を巡る情勢は、いつ急変するか分からず、今すぐ準備を整えておくために必要な法案で、速やかな成立が不可欠だ」と述べました。

これに対し、民主党の福山幹事長代理は、「日本では、少なくとも40年以上、総理大臣や閣僚が、集団的自衛権の行使はできないとしてきた。歴史の歩みを軽んじ、法的安定性を壊すことに、なぜこんなに鈍感なのか。法案は、立憲主義、平和主義、民主主義を守ってきた戦後70年の歩みに背くもので、違憲であり反対だ」と述べました。

続いて、採決が行われ、記名投票の結果、自民・公明両党や、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革などの賛成多数で、可決され、成立しました。

安全保障関連法の審議は、衆議院で、ことし5月26日から始まり、与党側は、国会の会期を通常国会としては過去最長の延長幅となる95日間延長して、今の国会での確実な成立を目指しました。そして、衆議院での委員会審議は116時間余り、参議院での委員会審議は100時間余りに上りました。

安全保障関連法の成立により、戦後日本の安全保障政策は大きく転換することになります。

■賛成148票 反対90票

参議院での記名投票の結果、賛成は、自民党、公明党、次世代の党、日本を元気にする会、新党改革など合わせて148票でした。一方、反対は、民主党、維新の党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちなど、合わせて90票でした。

■中谷防衛相「安全保障体制 1歩も2歩も進む」

中谷防衛大臣兼安全保障法制担当大臣は、国会内で記者団に対し、「法律は、日本の平和主義を維持しつつ、わが国の安全保障体制が1歩も2歩も進むもので、非常に意義がある。国民に十分に理解されていない部分があるので引き続き努力していく。

今後は、特にアメリカ軍と、今まで対応できなかった部分も協力や訓練などができるようになり、わが国の抑止力の向上につながるので、しっかり連携できるようによく調整しながら対応していく」と述べました。

■自民・谷垣幹事長「冷静な対応必要」

自民党の谷垣幹事長は国会内で記者団に対し、「いろいろと論点もあり批判もあったが、与党の政治家として日本の安全と平和の確保をどうするのか、結論を出すことができてほっとしている。理解が進んでいる面もあるが、具体的なものより感情的な議論になるので、それを乗り越えるために冷静に対応しないといけない」と述べました。

■民主・岡田代表「極めて残念 大きな傷残した」

民主党の岡田代表は、国会内で記者団に対し、「極めて残念だ。憲法の平和主義と立憲主義、そして、日本の民主主義に大きな傷を残した1日になった。一内閣が、憲法解釈を勝手に変えてよいということが、まかり通ることになれば、国会での議論は意味が無くなり、絶対に認めるわけにはいかない。今後は、しっかりと国民を巻き込み、ほかの野党とも協力しながら、次の選挙で結果を出して、集団的自衛権の部分については白紙に戻したい。そのための戦いが、きょうから始まると思っている」と述べました。

■公明・山口代表「なおいっそうの理解を」

公明党の山口代表は、国会内で記者団に対し、「かなり濃密な議論ができ、修正協議の成果を合意として生かすことができた。国民に、なおいっそうの理解をいただけるよう政府に対応を望むとともに、国会としても努力したい」と述べました。

■維新・松野代表「強い野党を作らないと」

維新の党の松野代表は、国会内で記者団に対し、「私たちは独自案を作って、与党と修正協議もしたが、結局、本会議にもかけてもらえなかった。安倍政権の国会運営は、横暴、傲慢であり、今の国会で法案を成立させるべきではないという世論があるにもかかわらず、衆参両院ともに強行採決したことは、本当に残念でならない。

強い野党を作らないと国民の意思と違う法律が、強行採決で通ってしまうので、この状況に歯止めをかけなければならない」と述べました。

■共産・志位委員長「戦争法廃止の出発点に」

共産党の志位委員長は、国会内で開かれた衆参両院の議員団の会議で、「憲法違反の法律を、与党が数の暴力で成立させたからといって、そのままにしておくことは絶対に許されない。立憲主義と、法治主義、それに法の支配が、土台から崩されようとしている。きょうを新たな出発点にして、『戦争法』を廃止し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻す戦いに立ち上がろう」と述べました。

■次世代・和田幹事長「抑止力確実に高まる」

次世代の党の和田幹事長は、国会内で記者団に対し、「平和と安全を守るために必要な法案であり、成立して安心している。これで、日本の抑止力は確実に高まるが、それでも足りない部分があるので、党としても、安全保障体制をさらにしっかりと強固なものにしていきたい」と述べました。

■社民・吉田党首「強行採決は暴挙」

社民党の吉田党首は、国会内で記者団に対し、「憲法違反の、『戦争法案』を、数の横暴で採決を強行したことは、立憲主義、民主主義、平和主義を踏みにじる暴挙であり、安倍政権の終わりの始まりだ。今回、連携した野党5党で、今後もしっかり連携し、国民に背を向けた安倍政権の打倒に全力を挙げたい」と述べました。

■生活・山本代表「無理やりに通した法案だ」

生活の党と山本太郎となかまたちの山本代表は、国会内で記者団に対し、「ルールを大幅に踏み外して、無理やりに通した法案だ」と述べました。

また、採決の際、いわゆる「牛歩戦術」をとろうとしたことについて、「何の意味があるのかと思う人もいると思うが、国民の8割が安全保障関連法案に不安を持っているので、国会の中で戦っていく意思を見せて、1秒でもあらがわないと、自分が政治家としてここにいる意味がない」と述べました。

■元気・松田代表「問題多いが歯止めかけた」

日本を元気にする会の松田代表は、「法案は、正直言って、問題や欠陥が多いといまだに思っているが、少しでも危険を減らすために、修正協議を自民・公明両党と行ってきた。断腸の思いで賛成したが、自衛隊の海外への派遣に関して、歯止めをかけることができた」と述べました。

■改革・荒井代表「修正を評価 十分説明したい」

新党改革の荒井代表は、「安全保障の極めて重要な転換点だ。自民・公明両党が一緒になって寛大な気持ちで、われわれ3党の修正案をのんだことは、国民の声をくみ取ったものと評価したい。ただ、国民の間にはまだまだ不安があるので、法案に賛成した立場として、十分、説明をしていきたい」と述べました。(NHK)

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