■解党に「助言」求める
昨年、解党したみんなの党の代表を務めた渡辺喜美前衆院議員は21日、維新の党の解党を目指す橋下徹大阪市長と名古屋市内で会談したことを明らかにした。渡辺氏は会談で、自民党や民主党と距離を置く「保守系改革勢力を新たにつくる絶好のチャンス」との認識で橋下氏と一致したとも指摘した。都内で記者団に答えた。
渡辺、橋下両氏は20日昼、約2時間半にわたり意見交換した。橋下氏は解党を目指す理由について「維新が維新でなくなってしまった。いったんリセットして新しい党をつくり上げたい」と説明し、助言を求めた。渡辺氏は橋下氏の新党構想について「維新は大阪で行政改革をやってきた。その精神を政党改革にもいかすなら素晴らしい発想だ」と歓迎した。
渡辺氏は路線問題をめぐり、当時、みんなの党の幹事長だった江田憲司氏と決別した経緯がある。旧結いの党を経て現在は維新の党に所属する江田氏は、分裂協議をめぐり橋下氏と関係がぎくしゃくしている。橋下氏との会談で江田氏に関する話題が出たかどうかについては「あったか、なかったかも含めて申し上げないことにしたい」と述べるにとどめた。
日本維新の会共同代表だった橋下氏と、みんなの党代表だった渡辺氏はともに「第三極」路線を目指し良好な関係にあったが、平成25年の参院選前に歴史認識問題で対立するなど関係が冷え込んだ。会談は久々の“和解”の場となったようで、渡辺氏は橋下氏との今後の関係について「折に触れて意見交換はしていくことになる」と述べ、連携に含みを持たせた。
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渡辺氏と記者団の主なやりとりは次の通り。
--昨日、橋下氏と会ったのか?
「橋下氏から連絡があり、大変律儀な方で『是非お会いして話がしたい』と。大阪で忙しそうなので名古屋で会談をやろうということで昼食を挟んで2時間半以上話した。中身は大阪維新の会の皆さんが維新の党を解党したい、と。理由は維新が維新でなくなってしまった。いったんリセットして新しい党をつくり上げたいんだ、と。ついては解党した歴史をみんなの党は持っているので、政党交付金については残余額を国庫に返したいという話もされていた」
「私からは『それは大変結構なことだ』と。維新は大阪で行政改革をやってきたわけで、その精神を政党改革にもいかすなら素晴らしい発想だと申し上げた。維新が解党となると、第三極の勢力がなくなってしまう。保守の改革勢力の第三極を新たにつくる絶好のチャンスという認識でお互い一致した」
--新党などの形で協力していく考えは?
「お互い切り口が違うところはあるが、根底で通ずるものはあろうかと思う。これから折に触れて意見交換はしていくことになると思う」
--来年夏の参院選出馬など橋下氏から選挙に関して要請されたことは
「全くそういう話はなかった」
--維新の党に絡んで江田氏の話題は?
「ハッハッハ、まあそういう話、サシの会談ですので、こういう公の場で話すようなことではない。あったか、なかったかも含めて申し上げないことにしたい」
--かつて橋下氏と意見が食い違ったこともあったが…
「関係が全く途切れたということではないと思う」
--みんなの党の解党時は執行部ではなかったが、解党に反対していた
「みんなの党を存続させる立場で当時臨んだ。ただ、振り返ってみると、解党に至った責任は私が背負わなければいけない。みんなの党の議員総会で残念ながら地方議員の意見は反映されなかったが、解党して政党交付金の残額を国庫返納することを決めたわけで、結果として非常にきれいなやり方だったという話を橋下氏にも話した」
--31日に行われる橋下氏が表明した新党結党大会に出席することは
「ありません。呼ばれてもいない」
--第三極勢力が求心力を発揮できない理由は
「橋下氏の気持ちが分かる。橋下氏も私の気持ちを理解してくれたから会いたいという話になったと思う。橋下氏の場合は大阪都構想実現、私はバブル崩壊後の日本経済の再生。何をやりたいかが明快だ」
「一方、新党に入ってくる方々はどうしても次の選挙にどう生き残るかを優先する。選挙優先と政策実現優先の対立が出てくる。維新もみんなも全く同じだった。選挙優先の方々が次の選挙のための新しい新党をつくるとか、新しいプラットフォームに行くとか、どうしてもそういう傾向が続いてしまい、離合集散が絶えないということかと思う」
「昨日の会談でも持論を言った。いくつもの政党が集まって一つになると元党首が何人もいる。元幹事長はもっとたくさんいる。だから、まとめるのが非常に難しい。ちょっとした予期せざる問題に遭遇すると分裂してしまう。民主党などがマニフェストに書いていない増税を決めて分裂した例もある」(産経)
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