深夜一時過ぎに目が覚めた。何となく熱っぽい。夕方に検温したら七度六分・・風邪でもひいたのだろうと七時半には床についた。それで早く目が覚めたのだろう。
じっと耳をすますと少年時代に聞き慣れた電車が走る音が聞こえてくる。当時は東京の牛込区に住んでいた。坂道を下ると外堀濠、その横を省線(JRのことを鉄道省の電車といった)が走っていて、「ガタン、ゴトン」という響きがわが家にも聞こえてきた。
同じ響きが聞こえる。「ガタン、ゴトン」というか、「ゴー」という遠鳴りのような音。いまのわが家から電車の走る響きが聞こえるとしたら、「常磐線」か「つくばエクスプレス」なのだろう。
距離からいえば「つくばエクスプレス」なのだが、遠鳴りのような響きは「常磐線」。深夜便が走っているのだろうか。
少年時代、麹町の武田麟太郎さん宅に父と母に連れられてよく行った。往きも帰りも歩き。帰りの方が印象に残る。
外堀濠の通りを歩いていると、車燈が目一杯ついた省線が走っていった。蛍光灯がない時代だから、その車燈の車列が暖かく懐かしい。
そんなことを考えていると、また「ゴー」という遠鳴りのような響きが聞こえてきた。これはやはり「常磐線」なのだろうか。
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