■米ウオールストリートジャーナルが指摘
中国の”終わり”の始まりがいわれている。だが3000年の歴史をもつ中国がそう簡単に終わるとも思えない。清朝末期の外交史を多少とも専攻した身だから、そこは違った見方をしている。
いえるのは、中国共産党・政治がいずれ終わり、躍進してきた中国経済がかげりをみせているので、時間がかかっても終わる。そして新しい中国が姿をみせるだろう。その新しい中国が姿がまだよく見通せない。
いまの習近平国家主席が中国共産党・政治の”最後の帝王”になると思う。中国軍部の突き上げがあったのだろうが、南シナ海の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化してフィリピン、ベトナムなど東南アジアの反発を招き、ついには米海軍の介入を招いてしまった。
軍事力で中国がアジアを支配することなど出来るものではない。
それならば、経済力で世界に覇を唱えようというのが、習近平の目論みなのだろうが、英国、ドイツなど欧州にばらまいたカネの効果は何ほどのことがあろう。新しい英中関係、新しい独中関係が、中国経済を救うというのは”絵に描いた餅”に過ぎない。
欧州は中国がいずれ瀕死の状態になることもあり得ると予測して一定の中国カードを切ってきたに過ぎない。
軍事やカネのばらまきに狂奔するよりも、いまの中国は13億の民のためにやるべきことが山積している。遅ればせながら、一人っ子政策を廃止したが、ウオールストリートジャーナルは「農村部の住民でさえ、家族を増やしたがらない。2人目以上の子どもを持つことに伴うコストを考えるからだ」とみている。
■中国は29日、一人っ子政策を廃止し、あらゆる夫婦が子どもを2人持てるようにすると発表した。この措置は、急速に高齢化する社会と、縮小する労働人口による人口動態上のひっ迫に備えることを狙っている。以下は一人っ子政策について知っておくべき5つのポイントだ。
1.なぜ一人っ子政策は施行されたのか
中国指導部は1980年に一人っ子政策を施行した。爆発的に増える人口を制御し、生活水準向上の一助にするのが狙いだった。この政策はおおむね目標を達成した、と専門家たちは言う。しかし、それは一連の問題にもつながった。人口抑制目標を達成するため、当局者が女性たちに中絶や不妊手術を強い、高齢者の世話を一人っ子が負うことになるといった問題だった。
2.一人っ子政策は、これまで変更されたことがあるのか
中国は2年前、一人っ子政策を廃止はしなかったが、いずれかの親が一人っ子家庭だった場合、その夫妻は子どもを2人持てるように規則を緩和した。それでも29日発表された廃止は、一人っ子政策がもたらした諸問題を当局が認めたことを象徴する。
3.なぜ中国は今、一人っ子政策を廃止するのか
中国の労働年齢人口(15歳から64歳まで)は劇的に縮小している。国連は、中国が2010年から30年までの間に6700万人の労働者が減ると予測している。同時に、中国の高齢者人口は2010年の1億1000万人から30年には2億1000万人に達し、50年までには人口の4分の1を占めると予想されている。国勢調査によると、中国の総人口は世界最大で、2010年には13億4000万人に増加した。
4.一人っ子政策廃止でどういう影響があるだろうか
はっきりしない。中国国家衛生計画生育委員会によれば、2年前の緩和により、新生児申請は145万人となった。米ノースカロライナ大学のカイ・ヤン氏(中国人口統計学)によれば、これは専門家たちの想定を大きく下回るという。一人っ子政策から免除されていた人が少なくない農村部の住民でさえ、家族を増やしたがらない。2人目以上の子どもを持つことに伴うコストを考えるからだ。
5.それでは手遅れということか
人口統計学者や経済学者の中には、新しい二人っ子政策は、中国の経済の方向を変更するには効果が余りに小さいだろうし、差し迫る労働人口危機を解決するには手遅れだ、とみる向きも一部にはいる。人々の結婚年齢は遅くなっているし、結婚しない人もいるからだ。生計費が急上昇するにつれて、出産を遅らせたり、子どもの数を制限したり、子どもを持たないことを選択したりする人も少なくない。出生率は現在、女性1人につき子ども約1.5人だが、それが上昇する公算は小さいだろう、とカイ氏は言う。(米ウオールストリートジャーナル)
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コメント
ウオールストーリジャーナルの記事は、日本にもぴったりでは、と思った。