■中国に懸念
[ブリュッセル 30日 ロイター]南シナ海の中国「領海」内に、米国が艦船を派遣した件で、欧州連合(EU)高官は30日、米国の行動を支持する立場を表明した。
来週にアジア欧州会議(ASEM)の外相会合を控え、EUと中国の協議に影響が及ぶ可能性もある。
高官は記者会見で「米国は航行の自由を行使している」と指摘。領有権争いが起きている海域で、人工島を造成する中国側の計画に、EUは懸念を持つと説明した。
また、EUの外交担当報道官は声明で「EUが領有権問題で特定の立場を取ることはないが、特に国連海洋法条約に反映される、国際法の原則に基づく海洋秩序を重視している」と述べた。(ロイター)
■米国は「親友」を中国に奪われたのか John Lloyd氏のロイター・コラム
[26日 ロイター]中国の習近平国家主席が巨額投資を約束した英国訪問の際、中国語の「叩頭(こうとう)」という言葉をよく耳にした。
オックスフォードの辞典による定義では、膝をついてひれ伏し「崇拝や服従」を表すこと、そしてそれは「過度に従属的な」行動だとしている。
この両方の定義が習主席の訪英にも大きな意味を持つ。
歴史をさかのぼると、最も深い叩頭を受けていたのは、臣下から「三跪九叩頭の礼」を受けていた中国の皇帝だ。しかし、18世紀末に英国最初の使節として清国に派遣された英外交官たちは、それを行うことを拒否した。
清の乾隆帝がジョージ3世に宛てた書簡からは、乾隆帝が外国人を「野蛮人」とみなし、中国よりも必然的に劣っていると考えていることは明らかだった。
その後、清国は2度にわたるアヘン戦争(1839─42年、1856─60年)で敗北を喫し、香港は英国に割譲された。それから長い間、英国は中国に対し最も強大な影響力を持つ国であり続けた。支配者である英国は自国の立場に恐ろしく敏感で、中国にひどい屈辱を与えた。
しかし現在、それは逆転した。
最初に派遣された英外交官が皇帝への叩頭を拒否してから2世紀以上が経過した今、叩頭は最初の定義で使われている。習氏は英国から最高の栄誉を与えられた。エリザベス女王は晩餐会で習氏をもてなし、滞在先としてバッキンガム宮殿の特別室を提供した(前回この部屋が使用されのは、孫のウィリアム王子が結婚したときだった)。習氏は英議会で演説し、女王もしくはキャメロン首相が同氏に常に同行した。
このような配慮は、中国がさまざまなプロジェクトで最大460億ドル(5兆5000億円)の投資を行うかもしれないからだ。この中には(フランスと一緒に行う)最大120億ドルの原発建設も含まれている。中国はロンドンの金融街シティを国際金融業務や、外国為替、その他の取引の場として活用するだろうし、サービスを輸入する際には英国を支持するだろう。
だがこの新たな友人関係の中で、英国側が人権問題に公に言及する姿は見られない。中国反体制派の監禁、すでに制限されている報道の自由への弾圧、さらには、対策強化にもかかわらず中国でまん延する汚職のどれ1つとして、英国は苦言を呈していない。広く言われていることだが、この沈黙は英国にとって恥となる。
キャメロン首相の側近を務めたスティーブ・ヒルトン氏は、同首相の態度について、「1970年代に国際通貨基金(IMF)に頼って以来、最悪の国家的屈辱の1つ」だと批判した(IMFは1976年、破綻しかけていた英国に40億ドルを融資した)。
中国人の権利意識は高まっていると考える現代芸術家、艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏も、キャメロン首相が「人権を無視」したのを見て、中国人は「深く失望」するだろうと語った。
だが、もっと大きな問題が頭をもたげつつある。
英国は1世紀以上もの間、国際舞台で米国の親友として振る舞ってきた。米大統領が2013年5月に、「昔から両国民を1つに結ぶ価値と信念のおかげ」で英米関係は非常に特別だと語るのを聞くまで、われわれ英国人はその重要性を誇張し過ぎているのではないかと、筆者は考えていた。
英米関係が時の試練に耐えられたようには見えない。米高官が相次いで英国の国防能力削減に遺憾の意を示し、不穏な空気が流れたという意味ではこの1年、両国関係は特別だった。3月には、米国に最低限の予告をしただけで、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を英国が西側諸国の中でいの一番に決めると、不穏な空気はとげとげしい雰囲気へと悪化した。
ある米関係筋によると、英国政府の上層部が考えを改め、中国との良好な関係を築きたいという必死のシグナルを送ろうとしているのではないかと、米国政府は現在考えている。この関係筋の言葉を借りれば、それはかなり「非英国的」なことだという。
英国人であるということは、米国の近しい友人であり、英語圏の大国同士のきずなを突如として無頓着に断ち切り、アジアに秋波を送ることではない。その意味では確かに「非英国的」である。
依然として発展途上にある大国との関係強化は大ばくちであり、中国と距離を取り始めている世界一の強国である米国を暗に敵に回すことになりかねない。
米国との関係見直し論者の急先鋒は、次期英首相の有力候補とみられるオズボーン財務相だが、こうした考えには、米大統領の力が世界的に弱く見られていること、米国政治の永続的な泥沼化、そして米権力層の内向化、特に右傾化などが含まれているように思われる。
加えて、欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票が向こう2年以内に行われるが、その結果、離脱することになれば、中規模の国である英国には新しい大きな友人が必要となる。英国経済の成長率は約2.5%程度だが、最近の数字は減速の兆しを示しており、製造業も依然として弱いままだ。
それ故、英国の外交方針が大きく転換することは大いにあり得ることかもしれない。もしそうなれば、その影響は英国自身よりも他国の方がずっと大きい。弱体化する米国の立場を浮き彫りにし、他のEU加盟国にとっては英国が離脱する可能性を示す新たな警鐘となり、人権問題では英国の影響力が弱まるだろう。その一方で、成長率が今なお英国の約3倍とはいえ、中国経済は減速しており、同国の人権問題も依然ひどい状況にある。
また、批判的な意見からはあまり聞かれない別の可能性もある。つまりそれは、英国が欧州と米国の懸け橋になるだけでなく、中国と米国の懸け橋になるというものだ。サッチャー元首相は、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領と米国のレーガン元大統領の間を取り持った。そのような緊密な関係が、中国を好転させる一助となる可能性がある。
21日の記者会見で、習氏は「世界には常に向上する余地がある。中国は人権問題で、英国や他の国々と一段と協力する用意がある」と述べた。
これは本心だろうか。それとも単に、自国で直面することはないであろう英国記者からの挑戦的な質問をかわす術なのだろうか。
一見すると本心らしく見えるが、そうではないだろう。だがそこには意味があり、オバマ大統領が褒めたたえた「価値と信念」を、英国が大金と引き換えに売ってはいないと願わずにはいられない。もしそうだとしたら、それはあまりにひどい取引だ。(ロイター)
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