■中国海軍はイランに寄港し、共同軍事訓練
小誌4687号(10月16日)で既報の通り、「中国軍幹部がテヘランを訪問し、協力関係強化を謳った」と書いた。
拙文は次のようである。
「いま過去のパスポートが手元にないので、いつのことか正確な日時を思い出せないでいる。ともかく筆者が搭乗したテヘランへ向かうイラン航空機は北京経由だった。成田から北京へ飛んで乗客の半分が入れ替わった。日本人客の多くは北京でおり、かわりに中国人がどやどやとテヘラン行きに乗り込んできた。その大半が軍服着用の中国人民解放軍の兵士だったのには驚かされた。
1990年代後半だった。テヘラン空港に降り立つとイラン軍人が出迎えにきていて、「おや、中国とイランの軍事交流はここまで進歩しているのか」と印象が深かった。80年代のイラン・イラク戦争のおり、中国はイランとイラク両方にスカッド・ミサイルを大量に供与していて「死の商人」といわれた。
2015年10月15日、テヘランで中国とイランの軍幹部による軍事交流イベントが開催された。中国側の代表は孫建国(海軍大将、副参謀総長)、イラン側はホセイン・デグハン国防相である。孫建国は「ミスター潜水艦」という異名をとる海軍のライジングスター。習近平の覚えめでたく、習訪米前の軍人訪米(団長は氾長龍)に随行しており、米国側はカーター国防長官と会見した。次期軍事委員会人事をにらむとき、もっとも注目される中国軍人の一人である。
席上、孫建国提督は「イランとの軍事交流をふかめ、お互いの立場を尊重しながら地域の安定と平和に貢献したい」等と述べ、また米国のイラン制裁解除に中国が裏で調停役として、動いたなどと協調した。昨年、中国の海軍艦船が補給と修理のためイランのバンダル・アッバス港に寄港しており、またイラン海軍幹部は中国の潜水艦などに試乗した」
(引用止め)
中国空軍の馬暁天司令員(つまり空軍司令官。中国党中央軍事委員会委員)はイランからの空軍幹部と北京で会談し、今後「イラン空軍の質的向上に最大限の協力をすると述べた」(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、2015年11月3日)
中東の地政学の激変に出遅れた中国だったが、イランを梃子に劣勢挽回を狙っているようである。
また中国の軍事力を脅威視しているインドの論調は重要であり、おもわぬ情報がときおり含まれる。
<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>
コメント