金曜日、月曜から木曜まで通院とリハビリ・センター通いで、体力を消耗したが、ようやく復調の兆しがみえる。
この五日間、気になっていたのは、選挙で大勝したアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が、ミャンマーの将来をどう導くかであった。
それはアメリカ、中国、インドの動向を、どう読み解くかにかかっている。
ミャンマーはビルマと呼ばれた頃から、東南アジアで最も豊かな地域であり、チーク材をはじめ天然資源が豊富で、石油生産・輸出も盛んに行われていた。
しかし軍事政権を嫌う欧米諸国はミャンマー製品の輸入禁止や、新規海外直接投資禁止などの経済制裁を行ってきた。なかでもアメリカの経済制裁はミャンマー経済に大きな打撃を与えた。
アウンサンスーチー氏の登場によって、アメリカがどう動くか。オバマ大統領はミャンマーに民主化勢力が大きな政治勢力となったことを歓迎するメッセージを重ねて発している。
次に中国の動向なのだが、早くから中国・ミャンマー原油・天然ガスパイプラインの建設計画とラムリー島に大型船が寄港可能な港湾施設計画でミャンマー政権に働きかけてきた。
米中が正面衝突している南支那海に比べれば、中国・ミャンマー提携が成功すれば、中国にとって遙かにプラスになる。アウンサンスーチー氏に対する働きかけが陰に陽に強くなるだろう。
これはまたインド洋における中国の進出を意味している。第五艦隊を配備しているアメリカにとって座視できない筈である。経済的な視野だけでなく、安全保障上の見地からみておく必要がある。
米中の角逐が南支那海からインド洋に広がる可能性がある。
さてインドだが、中国、パキスタンにミャンマーにまで囲まれてしまうと、インドにとって安全保障政策上、由々しき事態になると密かに危惧しているのは間違いない。
しかしながら、インドはミャンマーに対して航空機や中古戦車の装備の輸出をすることで、ミャンマーが中国に大きく傾斜するのを防ごうとしている。インドの動きに対してアメリカがどうするのだろうか。
「アジア最後のフロンティア」と期待が高いミャンマーだが、一皮むけば激しい大国の角逐の中で、目が離せないように思う。
■アウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が25年ぶりの選挙戦を制した
(CNN)ミャンマー総選挙で、アウンサンスーチー氏率いる野党・国民民主連盟(NLD)が、圧倒的な大差で議会(定数664)の過半数を獲得したことが明らかになった。選挙管理委員会が13日に発表した。この結果を受け、新たな大統領がNLDから選ばれる。
軍事政権により、1990年からの20年間の多くを自宅軟禁下で過ごしてきたスーチー氏。解放から5年を経て臨んだ選挙戦で、同国の歴史を塗り替える勝利を手にした格好だ。
8日に行われた選挙では、開票作業の序盤からNLDが与党・連邦団結発展党(USDP)を大きくリードしていた。11日には米国のオバマ大統領がスーチー氏に電話をかけ、選挙戦の勝利への祝意を伝えている。
ホワイトハウスによればオバマ大統領は電話で、新政権の樹立が「ミャンマーの民主化において大きな前進となるだろう」と述べた上で、目標の達成に向け幅広い勢力を結集したスーチー氏の努力を称賛したという。
またオバマ大統領はミャンマーのテインセイン大統領とも電話で会談。すべての当事者が正式な開票結果を尊重し、新政府樹立に向けて協力していくことの重要性が話し合われたという。
今回の選挙は、強い力をもつ国軍が、完全な民主化に向けた現在の路線を今後も推進していく意思があるかどうかの試金石と見られている。(ロイター)
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