■狙われたソフトターゲット
国際テロリズムの脅威が高まり、各国で対策強化が加速する中で発生したパリ同時多発テロ。来年5月に主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)、5年後に東京五輪・パラリンピックを控える日本の警察当局にも衝撃が広がった。警備が比較的厳しくない「ソフトターゲット」が狙われたこともあり、「リスクの洗い出しと対策強化が急務」との声があがる。
1月にイスラム過激派による風刺週刊紙シャルリー・エブド本社の銃撃事件があり、テロ対策が強化されていたフランスを再び襲った惨劇。警察幹部は「テロを防ぐのはそれだけ難しい。万全はなく地道な対策を重ねるしかない」と重く受け止める。
2005年の英国・グレンイーグルズ・サミットではロンドンで同時爆破テロが起きるなど、国際的イベントを狙うテロは後を絶たない。伊勢志摩サミットでは、会場の三重県だけでなく各国の大使館が集う東京など警備対象は全国に広がり、「多方面作戦を求められる」(警察幹部)形だ。
全国の警察では、サイバー攻撃への対策をはじめ、重武装テロリストに立ち向かう特殊部隊や、NBC(核・生物・化学)テロに対処する部隊の能力向上が進む。交通インフラや、人が集まる場所では警戒を強化。普段から厳重な警備を行う国会などの重要施設でも、テロを想定した訓練が繰り返されている。
ただ、今回の多発テロの標的となったのは政府機関や空港などではなく、劇場や競技場、飲食店といったソフトターゲットといわれる場所だった。国際テロリズムに詳しい公共政策調査会の板橋功氏は「同じケースをいかに防ぐか、今後の課題となる」と指摘する。
板橋氏は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」が今年、拘束した日本人2人の殺害を公表し、日本を標的と名指ししている点にも注目。「世界的注目を集める日本で、周到に準備した組織的テロが起こる恐れは十分ある」と話している。(産経)
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