パリでは、同時テロ事件のあと、一時閉鎖していた観光施設の多くが今週、再開しましたが、周辺にはテロへの警戒に当たる警察官や兵士の姿も見られ、緊張感に包まれています。
このうち、パリの中心部にあるエッフェル塔は、16日にいったん再開されましたが、従業員らが安全が確保されていないとして抗議したため再び閉鎖するなど対応が二転三転し、最終的に17日の夜から再開されました。
再開後は、銃を持った警察官や兵士が警戒にあたっているほか、訪れたすべての人に対して荷物のチェックを行うなどしていて、観光客の数もふだんと比べて大幅に減っています。
アメリカから家族で観光に来た男性は「警備の強化は少し落ち着かないですが、その理由は良く分かっていますし必要なことだと思います」と話していました。一方、友人とともに訪れた女性は「どこにいても銃を持った人がたくさんいて精神的に少し疲れます」と話していました。
このほか、凱旋門やオペラ座でも警察官らが警戒に当たるなど警備を強化していて、こうした状況が長引けばフランスの主要産業である観光産業に深刻な影響を与えることも予想されます。
同時テロ事件の発生を受けて、延期になっていたパリのシャンゼリゼ通りのイルミネーションが19日点灯し、テロで緊張感が高まる街に暖かい光りがともりました。
パリのシャンゼリゼ通りでは毎年クリスマスシーズンを迎えるこの時期におよそ2キロにわたってならぶ400本の街路樹が一斉にライトアップされ、冬の風物詩となっています。
ことしは同時テロ事件を受けて当初の予定を1日延期し、19日に一斉にイルミネーションが点灯されました。午後6時ちょうどにイルミネーションが灯されるとパリ市民や観光客などが街路樹に輝く光を眺めたり、写真に収めたりしていました。テロ事件の影響でことしは毎年華やかに行われる点灯式が取りやめになり周辺で警察官が警備に当たるなど緊張した雰囲気の中での点灯となりました。
訪れたパリ市民は「イルミネーションは冬のパリに欠かせない。これは希望の光です」とか「この光は犠牲になった人々の追悼の意味もあります。まだ時間がかかるがパリはきっと元の姿を取り戻します」などと話していました。
■パリで開催の見本市も厳戒態勢
パリでは、同時テロ事件のあと、17日から19日まで最新の放送機器を展示する見本市が開かれました。
事件を受けて見本市の会場では、今回初めて入り口で、すべての来場者にボディーチェックや、荷物のチェックなどを義務づけ、例年以上に警備を強化しました。主催者によりますと事件の翌日に緊急の会議を開いて開催の是非について議論し、警備に当たる人員を例年の2倍から3倍に増やすことで開催にこぎ着けたということです。
今回の見本市では、出展を取りやめた企業はほとんどなかったということで、主催者のマイケル・フィルジさんは「多くの人たちが私たちの決断を支持してくれた」と話していました。ただ、来場者数は例年に比べて少なかったということで、同時テロ事件の影響が広がっています。(NHK)
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