【ワシントン】カーター米国防長官は3日、女性将兵を例外任務なしに戦闘部隊に配属するとの決定を下したと発表、女性の戦闘参加の是非をめぐる長年の議論に終止符を打った。これにより、女性将兵は30日後には軍のあらゆる任務に就ける。
同長官は「女性といえども基準を満たしていれば、これまでできなかった任務でも米軍に貢献できることになる」とし、「女性将兵も戦車を操縦し、迫撃砲を撃ち、戦闘で歩兵を率い、陸海空軍の特殊部隊や海兵隊の歩兵部隊に所属できる」と具体例を挙げて説明した。
国防総省は2013年に、全軍に対し資格を満たした女性にすべての任務を開放する方針を打ち出し、その後3年間にわたって女性将兵が戦闘部隊に円滑に溶け込めるかどうか検証してきた。海兵隊は、歩兵部隊など一部の兵種について開放の例外とするよう求めていたが、カーター長官はこれを却下した。陸海空軍は例外を申請しなかった。
今回の決定により、これまで女性将兵が就けなかった歩兵や偵察、特殊部隊など全体の10%に当たる22万近くの兵種が開放される。ただ長官は、米軍は男性と女性の肉体的な能力の相違は認識しているとし、戦闘効率を損なわないように注意を払いながら融合を進めると述べた。
ダンフォード統合参謀本部議長は海兵隊総司令官だった9月に例外を申請していた。海兵隊は、女性が戦闘部隊に加わった場合、戦闘効率が劣化し、損耗人員が増える可能性が大きいとの報告書をまとめていた。カーター長官によればイラクとシリアでの過激派組織「イスラム国」との戦いに配備される特殊部隊に女性将兵を配属することも認められる。
議会からは、この決定に賛否両論が出ている。海兵隊出身のハンター下院議員(共和、カリフォルニア州)は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで、「国防長官が純粋に政治的な理由から下した一方的な決定であり、間違っている」と批判した。しかし、陸軍特殊部隊出身のリード上院議員(民主、ロードアイランド州)などは軍隊の女性に対する恣意的な障壁を撤廃するものだとして歓迎した。
上下両院の軍事委員長であるマケイン上院議員(共和、アリゾナ州)とソーンベリー下院議員(共和、テキサス州)は、懐疑的な姿勢を示しながらも歓迎する共同声明を出した。
声明では、「国防総省が今回の決定に基づく実施計画をできるだけ早急に両院軍事委員会に送付するよう期待する」とし、両委員会は海兵隊の報告書を含めカーター氏の決定に関連した文書を「注意深く徹底的に検証する」と表明した。(米ウオールストリートジャーナル)
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