■スペイン・バルセロナでフィギュアスケートGPファイナル
フィギュアスケートGPファイナル(12日=日本時間13日、バルセロナ) もはや、神の領域!! 12日(日本時間13日)の男子フリーでソチ五輪金メダルの羽生結弦(21)=ANA=は219・48点をマーク。
10日のショートプログラム(SP)の110・95点に続き世界歴代最高を更新し、合計も前戦のNHK杯を8・03点上回る330・43点で、男子初となる3連覇を果たした。一夜明けたこの日はエキシビションに登場。絶対王者を目指す男は2018年平昌五輪まで無敗を続けることを誓った。
落ち着いた表情に王者の貫禄が漂っていた。SPに続いてフリーと合計得点でも世界歴代最高をたたき出し、再び銀盤の歴史に名を刻んだ。一夜明けても羽生に慢心はない。その目はV2がかかる、2018年平昌五輪に早くも向けられた。
「自分はまだ絶対王者という響きに合っているスケーターではない。常に自分が1位であり続けたい。納得いくパフォーマンスをしたい」
欲しいのは絶対王者の称号。尊敬する2006年トリノ五輪覇者のエフゲニー・プルシェンコ(ロシア)は、02年ソルトレークシティー五輪(銀メダル)後からの4季、ほとんどの大会で勝ち続け、絶対王者と言われた。そのプルシェンコも果たせなかった五輪連覇を、無敗のままで成し遂げることを誓った。
“神の領域”だ。大会では驚異の得点を連発して、男子初の3連覇。フリーは完ぺきな内容だった。サルコーとトーループ、2種類の4回転に成功。GOE(出来栄え点)で最高評価の3点の加点を引き出した。
同じくブライアン・オーサー氏(53)から指導を受けるハビエル・フェルナンデス(スペイン)が、控室でひれ伏すほどの圧倒的な舞い。ライバルの驚きをよそに得点が出た瞬間、両手で顔を覆うと、涙があふれ出た。
休む間もなく25日開幕の全日本選手権(札幌)に臨む。来春の世界選手権(米ボストン)最終選考会を兼ねており男子の出場枠は2。代表争いを勝ち抜いてボストンでの覇権奪還を目指す。
この日は、さらに先も見据えた。平昌五輪は北米向け放送を優先し、異例ともいえる午前中に競技が行われる噂があることを口にした。
「どんな状況でも、この演技をしないといけない」
この日のエキシビションで羽生が披露した4回転ループをプログラムに組み込む構想をオーサー氏は明かしたが、2度目の五輪まで残された時間は十分ある。
「大きな目で(五輪まで)3年間は学ばないといけない」。学びながら勝ち続ける。己との戦いに挑んだ先に、光り輝く金メダルが待つ。(江坂勇始)
■羽生を指導するブライアン・オーサー氏
「(羽生は)ゾーンに入っていたし、リズムも良く、全てがそろっていた。この得点と戦うためには、新たな挑戦が必要。4回転ループが次の挑戦になっても驚かない」
★羽生330・43点分析
羽生はNHK杯の得点をSPで4.62点、フリーで3.41点も更新した。要因はわずか2週間弱でさらに磨き上げた演技の精度。出来栄えに応じてジャッジが与える加点を大きく引き出した。
ジャンプ、スピンなどの技術点、表現力を示す演技点ともにNHK杯を上回った。フリーでは技術点の加点が2.65点もアップ。初めてサルコーとトーループの単発の4回転ジャンプがともに最高評価を受け、3つのスピンも前戦より高い完成度との評価を受けた。
またスケート技術、技のつなぎ、身のこなし、振り付け、音楽の表現の5項目はSPに続いて軒並み得点が上がった。
■羽生結弦(はにゅう・ゆづる)
1994(平成6)年12月7日生まれ、21歳。仙台市出身。東北高-早大。ANA所属。4歳でスケートを始める。11~12年のロシア杯でGPシリーズ初優勝。世界選手権は初出場で銅メダル。12年に全日本選手権初優勝。13~14年シーズンはソチ五輪で日本男子初の五輪金メダルを獲得し、GPファイナル、世界選手権を制した。
昨シーズンはGPファイナル連覇、全日本選手権3連覇を達成。世界選手権は2位。今季はスケートカナダ2位、NHK杯優勝。1メートル71、52キロ。(サンスポ)
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