20171 ナイジェリアの過激派「ボゴハラム」はスンニ派   宮崎正広

■外国人戦闘員含め15000名 ISほど目立たないが、凶暴性は同質なうえ、武器はハイテク兵器が多い

ISは戦闘員がまだ20000名近く、原油の密輸、誘拐、拉致。そして産油国からの身代金で懐は豊かだとされる。しかし原油密売ルートが空爆され、石油からの収入は顕著に減った。

ボゴハラムは、日本のメディアがたまにしか報道しないが、IS(イスラム国)と変わらない規模の兵力と軍事金を誇り、ナイジェリアばかりか近隣のニジュール、チャドなどにその聖戦思想の影響力がある。

外国からも志願兵が多く、立場はスンニ派。規模は15000名前後とされ、ナイジェリア北東部が拠点、首都のアビジャンでも過激派自爆テロをおこなった。

軍事金はムスリムからの献金、ナイジェリアの富豪からの「みかじめ料」、そして誘拐の身代金であるとされ、政府軍との戦闘でろかくした近代的兵器を使う。なかには装甲車、戦車、対空ロケットも装備しているとされる。

米国はナイジェリア政府から要請のでていた武装攻撃ヘリ「AH―1 コプラ」の供給を拒絶している。

理由はナイジェリア政府軍が弱く、せっかくのハイテク兵器がボゴハラムに簡単に亘ってしまう懼れがあるからだ。イラクでは米軍が訓練したイラク正規軍があまりにも弱くISに攻撃されるやハイテク兵器を大量に於いて逃げ去ったように。

くわえてナイジェリアのジョナサン政権は腐敗していて、国民から怨嗟の的になっており、政府軍は凶暴で強盗、強姦、虐殺をおこなっても「あれはボゴハラムの仕業」と言いつくろっていることが国際NGO「ヒューマンウォッチ」などが告発している。

このボゴハラムは2002年頃にナイジェリアで結成され、組織名は「西洋の教育の罪」という意味である。とくに西洋のダーウィニズムを否定し、イスラム法の国を作ろうという目標はISに酷似する。

昨年まではアルカィーダ傘下とされたが、いまではISに忠誠を誓っており、他方では「ナイジェリアのタリバン」と異名を取る理由は、ナイジェリア北東部を事実上、おさえているからである。

ナイジェリア政府の実効支配が及んでいないのだ。

指導者には7万ドルの懸賞金がかかっているが、創設者は死亡しており、いまの指導者も本物なのか、影武者なのか、不明である。

各地でテロ、政府設備、学生寮を襲撃し、大量の虐殺をおこなったほか、14年には200名以上の女子学生を誘拐し「奴隷として売った」と報じられた。かれらはこれを否定し、兵士と結婚させたなどと言っている。

このテロリストの跳梁跋扈ぶりを西側の価値基準で報道する日本のメディアだけを読んでいると、かれらテロリストがなぜ、これほど強く、地元民衆の支持を得ているか、つまり過去に虐待されてきたイスラムのキリスト教文明への挑戦であることがなかなか了解できない状況を産んでいるようである。

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