20189 「桃花林」と「唐紅花」の中華の味   古沢襄

ことしは”フグ料理”づいたが、一昨年までは”中華料理”づいていた。横浜に18年住んだので南京街の四川料理に一家でよく行った。

だが利根川を超えた守谷市に住んで20年、南京街は遠すぎる。それに東京周辺で一番味がいい中華料理は米大使館近くのホテルオークラの「桃花林」。昼食や客の接待によく使った。

体調を崩してからは、亡くなった渡辺美智雄元副総理の一族が教えてくれた浅草ビューホテルの27階、「唐紅花(カラクレナイ)」を十年来使っている。

一昨年9月に東大生の孫が成人に達したので私と妻、長女と次女に孫の五人で孫の成人祝賀会を「唐紅花」でやった。

「桃花林」ほどの味ではないが、行きやすいのと浅草の気取らない雰囲気がいい。スカイツリーが見える席はいつも満席。見えない席は日曜日でも予約がとれるから、そこを定席にしてお好みの料理を注文。

娘たちはビールだが、私は四川省の紹興酒を人肌に温めたものを飲む。

紹興酒を覚えたのは台湾。友人の台湾人が人肌に温めた紹興酒なら、いくら飲んでも悪酔いしないと教えてくれた。それでホテルの風呂に紹興酒を漬けて飲んだ。

二、三本は飲んだだろうか。もともと酒は強い方だから、口当たりの良さにつられて飲むわ、飲むわ!だが紹興酒は中華料理がないといまひとつ味がさえない。

酒だけで飲むのなら、やはり日本酒にかぎる。

台湾の中華料理は広東料理の影響がある。北京料理と違って、言っては悪いがゲテもの風なのだが、これがまた美味しい。

クラゲのスープ煮と思って食べたら、アヒルの足を柔らかく煮たものだと教えられた。一瞬、たじろいだのだが、美味しいものは美味しい。

小学生の頃、父と母に連れられて月に一度は九段下にあった「山東省料理」によく行った。山東省の中華料理は宮廷料理・北京料理の前身だという。饅頭で「山東省料理」を食べるのだが、支那人の夫婦が作る料理と饅頭の味が忘れられない。

この辺りはB29の爆撃で灰燼と帰したが、戦後、復興がなった辺りをさがした。だが支那人夫婦も「山東省料理店」も見つからなかった。饅頭も南京街で探したが、甘味がついたものはあるが、支那人夫婦が作ってくれた素朴な味はない。

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