■高村副総裁がモスクワ訪問、ラブロフ外相と会談したが
安倍首相特使としてモスクワを訪問した高村自民党副総裁は、1月12日、ラブロフ外相と会談した。安倍晋三首相の親書を手渡し、つっこんだ話し合いがもたれた。
新聞報道によれば、北朝鮮の核、北方領土問題、経済協力、平和条約への枠組み作りなどが話し合われたとされるが、別の視点から見ると、ロシアと日本の距離は開いたのではないかと思われる。
というのも、ラブロフは「日米が開発するミサイル防衛システムに明確に反対し、これはロシアの安全保障にとって不安である」と唐突に発言していることである。
話題はおそらく北朝鮮の核実験から発展したのだろう。
北朝鮮ならび中国の核ミサイルの脅威を目前にもつ日本が安全保障上、理論的には独自の核武装がもっとも安全に繋がる抑止力だが、それが叶わず、しかも「専守防衛」とかいう奇妙な発想が日本の防衛方針の基幹にある以上、「防衛的な」システムを構築することは日本の安全につながる。
しかしロシアから見れば、これは「ロシアの核戦力を無力化するものであり、ロシアは、このシステムを破壊できる攻撃兵器をつくって対応する」と言っているのである。
驚くべし、ロシアの防衛思想は、いまだにマッキンダーの地政学、宏大なバッファーゾーンの必要性という強迫観念にとらわれていることがわかり、印象的ともいえることだった。
つまり、ロシアは依然として、「遠くて寒い国」だったことを改めて思い知らされたのが、日露緊急会談であった。
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