■1991年以来最悪、そして「もっと下がる」と業界は悲観
先週、香港に滞在中、いろいろと驚きがあった。
第一に金宝飾店ががら空き、つまり「爆買い」ブームは去っていたこと。第二にマカオのギャンブル場も往時の三分の一、とりわけ高額を賭ける賭場に客がいない。中国大陸からの博徒がピタリと来なくなって、主として香港からの小金を掛けて愉しむ層しか以内からだ。
バブルは完膚無きまでに終焉していた。
町の不動産屋を数軒からかってみたが、ほぼ全員が仏頂面をしていた。地下鉄駅の出入り口で物件のチラシ、ティッシュペーパーを配っているが誰も見向きもしない。
サラリーマンの住宅需要はあるが、とくに悪いのは億ションである。売れ行きが止まっているのだ。
こうした現象から判断して、「終わったな」という印象をさらに強くした。
とくに繁華街で言えばオースチン路に不動産業者が集中しており、日本と同様にガラス一面にビラが貼られている。新築マンションの売り出しがあれば、競って応募してきた無数の投資家がいた(彼らは手付け金を打って権利を手にするや、転売する目的。それほど香港の不動産は投資対象としても価値が高かった)。
小誌は香港財閥一位の李嘉誠が中国大陸の保有物件をすべて二年前に「高値売り逃げ」したこと、香港でも新規投資を控え、英国へ投資対象を切り替えている事実から、間もなく香港で異様な不動産投機ブームは終わると予測してきた。
業界二位のヘンダーソンランドもエネルギーなど異分野への参入を本格化させており、ホテルの新規投資も殆ど目立たなくなっていた。
ついに香港でも不動産バブルがはじけた。
年初来、株安、人民元安とともに価格崩落が開始され、「91年以来、最大の下げ幅だが、これからもっと悪くなる」(サウスチャイナモーニングポスト、2月3日)。
<a href="http://www.kajika.net/">杜父魚文庫</a>
コメント