20426 中国最大財閥の「万達集団」は共産党高層部と株で繋がった   宮崎正広

■株式公開前に大量の株を高層部に提供

万達集団は大連が本社である。摩天楼のような本社ビルが中山公園から大連港へ行く道に聳えている。筆者も三年ほど前に大連滞在中、タクシーをとめてビルを撮影したことを思い出した。

万達集団は最初は不動産開発で成り上がり、デベロッパー主体からビジネスを多彩となして、まずは米国の映画館チェーンの買収を手始めに、中国全土でも映画マルチセアターのチェーン化、レジャーランドの建設に手を広げ、直近ではハリウッド映画買収へと派手なパフォーマンスで世界的に知られる。

同社CEOの王健林は、中国富豪のナンバーワンである。

そして中国最大財閥の「万達集団」は共産党高層部と株で繋がった{股友}だったのだ。(「股友」とは株仲間。「股」は株式の意味)。

習近平の姉、齋橋橋は香港に陣取って、夫のトウ家貴とともに「泰川太地公司」などコングロマリット企業を経営することで知られるが、2009年に万達集団の未公開株式を2860万ドルで買い入れており、13年には、その株価は2億4000万ドルとなった。十倍近い!

温家宝前首相の息子、温雲松は「インサイダー取引の帝王」と言われる。
彼は2010年に万達集団の株式を大量に購入し、2013年現在、時価が5億2000万ドルに膨らませていた。

同じく温家宝の娘、温如春の持ち株時価が2億5000万ドル。温如春は別名、常麗麗という。北京に登記された不動産会社の役員欄に、この常麗麗の名前があるという。

賈慶林(江沢民政権で政治局常務委員)の女婿、李泊漂は2010年に900万ドルを投じて万達集団の株式を購入し、現在の時価は1億3100万ドル。

そのビジネス・パートナーである藩永武はもっとも早く2007年に20万ドル以下の資金で購入し、2億5000万ドル。大化けの典型で、このあたりから中国共産党高層部の太子党に万達株式のインサイダー取引が拡大したのだろう。

王兆国(政治局員)の息子、王新宇が、これらの太子党メンバーの中ではもっとも早くに万達集団の躍進と将来性に目をつけ、2007年に50万ドル以下の金額で購入した株式は、2013年現在6億4000万ドルに達していた。トップの成績を上げていることが判明した。

共産党トップとの深いコネクションを利用して商圏を拡大するという手口は中国特有のものであり、薄煕来の失脚に連座して逮捕され、獄中で急死した徐明の遣り方も同じである。

徐明も大連を地盤に「大連実徳集団」を経営し、薄と仲間の周永康に美女を斡旋するなどして、自家用飛行機を乗り回して世界中を飛び歩いた。

これらは一年前のニューヨークタイムズ(15年4月)に一度報じられたものだが、2016年2月23日に香港メディアが文献証拠を入手できたとして改めて報道したもの。それを在米の「博訊新聞」も同日付けで伝えた。
 

大富豪が共産党の利権に深く?がり、またそういう相関関係がなければ、つまり党の庇護がなければリスキーな商売は展開できないのである。底知れぬ北京の闇の奧。

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