■サンダース、まだまだ意気軒昂。予備選でヒラリーに猛追
3月6日のCNNテレビのディベート番組で民主党はヒラリー・クリントン元国務長官とバーニー・サンダース(バーモント州上院議員)との対決となった。
サンダースはヒラリー夫妻のウォール街との「特殊な関係」を執拗に攻撃し、夫妻はそろってゴールドマンサックスなどに招かれ、数十万ドルの「講演料」が支払われていると暴露し、「その数十万ドルに値する講演の中味を知りたい」と皮肉たっぷりに攻撃した。
ヒラリーは必死にウォール街との特殊な関係議論から論点をそらし、09年のリーマンショック直後になされた銀行ならびにGE、クライスラー救済のための「3500億ドルパケッジ」に触れ、もし大胆な救済策を打たず、サンダースが反対したように、救済案が通過しなかったら400万人の失業が生まれていたと反論した。
「あれはウォール街救済ではなく、アメリカの経済を救ったのです」と。
すかさずサンダースは夫君の政権のおりに成立したNAFTAなど、貿易協定を批判し、アメリカの競争力は削がれ、失業がでたのは、この不均衡な貿易協定であり、しかも中国などとも同様な貿易合意を結んだことによってアメリカ経済はこれほどに落ち込んでしまったのだ、と批判しつづけた。
7日(日本時間)、サンダースはメーン州でもクリントンに勝ったが、かれが勝利した地区は過疎の貧困地帯が主で、人口のすくないところばかり。重要な代議員獲得数ではヒラリーが1121票。サンダースは481票。
これから予備選が行われるオハイオ、イリノイ、フロリダ、ミシガンなど人口大州では、ダブルスコラでヒラリーがリードしていることが世論調査でも明らかとなっている。
他方、共和党のほうもクルーズの追い上げが激しく、ルビオもプエルトリコ準州で勝ったが、これからフロリダ州(3月15日)に闘いの場が移る。
ワシントンタイムズが行ったFOXテレビの四人の候補者討論での結果、誰が勝ったかというネット上での人気投票では、
トランプ 76%
クルーズ 7%
ケーシック 14%
ルビオ 3%
という不気味な数字が並んでいる。
▼日本の反応は鈍いがTPPの成立は難しくなった
さて下村博文前文科大臣が「トランプ政権誕生もありうる」と発言したのが日本で目立つが、だれもTPPの成立が危ぶまれる状態になったアメリカの政治状況については語らない。
じつはサンダースはTPPに明確に反対している。
共和党でもトランプが反対、クルーズも消極的に反対しており、賛成はルビオひとりだけである。
ウォール街と保守本流の主張は、有権者から殆ど顧みられてはおらず、このような状況の変化があることを日本は肝に銘じておくべきではないか。
TPPはやはり米国議会が批准に反対するだろう。
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