[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS]中国は外貨準備を維持する闘いで幾分かは態勢を挽回した。昨年12月、1月と2カ月連続で大きく落ち込んだ外貨準備は、2月の減少が300億ドル未満にとどまった。準備高はなお3兆2000億ドルとかなりの規模だ。
この点から見ると、中国人民銀行(中央銀行)の口先介入を通じた人民元下支えと資金流出の阻止に向けた取り組みが、一定の効果を発揮していることがうかがえる。
12月と1月にそれぞれ外貨準備高の3%分が失われたのと比べれば、2月の1%弱の減少はまずまずの成績に見える。さらにいくつかの外的な材料も追い風に働いた。例えば2月はドルが主要通貨に対して弱含み、中国が抱えるドル以外の準備資産の時価を押し上げた。春節(旧正月)の休場が外為市場の投機に水を差した面もあった。
ただしこの1カ月のデータですべてを判断しないことが大事だ。2015年は4月と10月に外貨準備高が増加したものの、通年では5130億ドルも減少した。そして減少規模よりも重要なのは、減少をもたらしている原因だ。国際決済銀行(BIS)の最近の分析では、海外の預金者が人民元から他の通貨に資金を移している。BISによると、第3・四半期に銀行の中国向け債権が1750億ドル減ったうちのおよそ半分はこの動きに起因する。残る部分は、中国企業による外貨建て債務の返済で説明ができる。いずれも中国の外貨準備取り崩しにつながるこれらの要因は、人民元が安定すれば収まっていくはずだ。
問題は経済の基礎的条件に絡む要因で、それは依然として人民元安を示唆している。中国経済は、改善が続く米国経済と対照的に減速基調にある。共産党が約束するように2020年まで年間の国内総生産(GDP)成長率を6.5%以上にするには、さらなる与信拡大、つまりは追加の金融緩和が必要になる。
中国の外貨準備高は引き続き相当な規模を保っている。Breakingviewsが国際通貨基金(IMF)の指針に基づいて分析したところでは、人民銀行が中国経済を外的ショックから遮断するためには恐らく2兆5000億ドルで足りる。とはいえ、大規模な資金流出が起きればそれはすぐに連鎖的な動きになりかねない。中国は通貨防衛においてまだ勝利を収めたわけではない。
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