20598 中国人民銀行がFEDに緊急な助言を求めていた   宮崎正広

■「1987年のブラックマンディに如何に対処したか」

 
2916年1月27日だった。中国の中央銀行「中国人民銀行」がFED(米連邦準備制度)に緊急のeメールを発信し、「貴行はいかにして1987年のブラックマンディの株価暴落に対処したか、助言をいただきたい。それも可能な限り早急に」と助言を要請していたことが分かった」(サウスチャイナモーニングポスト、3月21日)。

中国の株式暴落から半年の時間が流れていた。

要請は北京から中国人民銀行NY支店長を通じ、しかるべきFED高官に伝えられ、「中国株式が8・5%の急落をしているが、貴行の速やかなる助言をわれわれは大いに評価したい」と書いてあったという。

中国中銀とFEDのあいだにはホットラインは存在しないうえ、中国はこれまで国際的な場での助言も協議もしたことがなく、この異例の助言要請は、オフィシャルのルートで行われていないため、両行の関係者はコメントを控えている。

1987年のブラックマンディではNYダウが20%前後の暴落となり、世界経済に悪影響を及ぼした。

中国の株価急落以後、やはり世界の株式市場に悪影響が拡がり、FEDはこの点を重視し、「中国の株式暴落は米国経済にも相当な悪影響を及ぼす恐れがある」として数時間以内に、緊急のサマリーを送った。

FEDは259ワードからなる「要約」に添付して、FEDの対処記録のコピィを送付し、ともかく暴落直後に市場に資金供給を絶やさず、銀行、証券の機能を維持させるためには通貨供給を約束する措置をとった。

この経過は当時のFED議長だったアラン・グリーンスパンの回想録に出てくる。

2015年7月27日の上海株式暴落直後、中国はともかく必要な資金を供給し、急場を凌いだが、下落傾向に歯止めはかからなかった。

 ▼いくら助言しても、情報に透明性のない中国の市場なのだ

中国人民銀行は急遽、金利を下げ、8月12日には人民元を2%切り下げるなど緊急な措置を講じ、同時につぎの対策の検討にはいった。

しかし大きな障害にぶつかる。

要するに中国人民銀行には政策決定の権限が制限されており、重要な政策変更などの決定と承認は共産党中央委員会常務委員会の「裁可」を待たなければならないというシステム上の欠陥である。

またFEDにも議会の追求が予測されるため「公開された範囲内の情報」しか中国人民銀行に情報を提供できない。

したがってFEDは「市場には情報の透明性がもっとも重要である」として、助言に付け足したという。
 

そう、透明性。それが中国には決定的に欠けている。したがって現在の小康状態の後、ふたたび大暴落がやってくるだろう。

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