20605 アメリカのベルギー観 日本のベルギー観   古沢襄

アメリカのNewsweekがベルギーを評して「テロリストの温床」の街と厳しい。

日本人のベルギー観は、欧州連合(EU)の主要機関の多くが置かれている首都ブリュッセルといったものではないか。EUの首都という目でみているから、在留届を提出している邦人は6,000人近くに達している。

Newsweekはベルギー連続テロは “IS戦闘員が実行”と分析している。アメリカと日本のベルギー観には明らかに落差がある。

■ベルギー連続テロ “IS戦闘員が実行” NHK

ベルギーの首都ブリュッセル近郊にある国際空港と市内の地下鉄で起きた連続テロ事件で、過激派組織IS=イスラミックステートにつながりのある「アマーク通信」は、ISの戦闘員が実行したものだと伝えました。

ベルギーでは22日の朝、首都ブリュッセル近郊の国際空港で爆発が起きたのに続き、市内中心部のEU=ヨーロッパ連合の本部近くにある地下鉄のマルベーク駅でも爆発が起きベルギー政府はテロ事件だとみて捜査を進めています。

ベルギーの公共放送は、一連のテロ事件で34人が死亡したと伝えています。また、政府の危機対策センターは、死亡が確認されたのは、これまでに空港と地下鉄で合わせておよそ30人だと発表しました。またけが人は2か所で合わせておよそ230人に上るとしています。

この事件について、過激派組織ISにつながりのある「アマーク通信」は、「ISの戦闘員が22日、ベルギーの首都ブリュッセルにある空港と中心部にある地下鉄の駅を狙って、自爆ベルトと爆発物を用いて複数回の爆発を起こした」と伝えました。

そして、「戦闘員数人が空港で銃撃を行ったあと、自爆ベルトを用いて爆発を起こした。地下鉄の駅でも同様に自爆ベルトを用いて爆発を起こした。230人以上の死傷者が出た」と伝えています。

■専門家「内容が正しいか現時点で判断できない」

「アマーク通信」は、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある通信社で、これまでにもISの戦闘現場だとする動画や写真などをたびたびインターネット上に投稿してきました。

今月に入ってからは、ISに拘束されているイギリスのジャーナリスト、ジョン・キャントリー氏が映っている映像をインターネット上に出しています。

イスラム過激派組織の動向に詳しい中東調査会の高岡豊上席研究員は「今回の連続テロ事件についての記事は、関わった戦闘員の人数など細かい情報が示されておらず、これまでのアマーク通信の記事と比べても情報が乏しい。このため、事件をISによる犯行だとしている内容が正しいかどうか、現時点では判断できない」と話しています。

■先週のパリ同時多発テロでは、捜査線上にたびたびベルギーが浮上した。なかでも注目を集めているのが、首都ブリュッセルのモレンベーク地区だ。

イスラム教徒が多いモレンベークは、地元では以前からテロリストの温床とみなされてきたが、今回のテロでも容疑者数人がこの地区の出身だということが明らかになった。

パリ同時多発テロでは、少なくとも132人が死亡、349人が負傷し、イスラム国(ISIS)が犯行声明を出している。警察は、ISISとのつながりが疑われる人物としてサラ・アブデスラムを特定した。モレンベーク在住のフランス人だ。同じくフランス人の兄弟イブライム・アブデスラムは、事件当日にカフェで自爆している。

■外国人もここから聖戦へ
 

英インディペンデント紙によれば、今回のテロの首謀者とみられるシリア在住のベルギー人、アブデルハミド・アバウドもモレンベークとつながりがあるという。

モレンベークにはモロッコ系やトルコ系移民の大きなイスラムコミュニティーがある。貧困で失業率は3割近く、町のモスクのいくつかは、イスラム過激派の新兵勧誘に場所を提供していると、GQ誌は指摘する。

シリアやイラクでのジハードに参戦して帰還する外国人戦闘員の住民に占める割合がヨーロッパで最も高いという。

モレンベークのテロリズムとのつながりはいまに始まったことではない。2004年のマドリード列車爆破テロでは、191人が死亡、約2,000人が負傷したが、容疑者の1人はモレンベーク出身のモロッコ人だった。

今回のテロで、ベルギーもいよいよモレンベークの悪評を放置できなくなった。シャルル・ミシェル首相は先週末、フランスのTV局に「何かあると、たいがいモレンベークが絡んでいる」と語った。「今後は強硬手段をとるしかない。これまでの対策は放任主義で手ぬるかった。今そのツケを払わされている」

その強硬手段がまた、憎しみの連鎖を生むのだろうか。

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