■災害は忘れた頃にくる
首都直下地震に備えた国の計画にあわせ、都は、生存率が大きく下がるとされる72時間に都と区市町村、警察、消防、自衛隊などがどう連携していくかを示したマニュアル「首都直下地震等対処要領」を2年ぶりに改定した。改定は初めてで、被害情報などを分析する専門チームの新設などを新たに盛り込んだ。人命救助や物資輸送のため、優先的にがれき撤去を行う道路などを定めた「緊急輸送ルート確保に向けた基本方針」も新たに策定した。
都によると、改定マニュアルでは平成26年4月の策定以降、これまでの訓練などで明らかになった「足りない部分」(総務局)を補足した。発生後に寄せられる膨大な被害情報などを分析し、対応にあたる部門に速やかに提供する「情報収集・分析チーム」を新設。各地から届いた支援物資などを避難所に効率的に届けるため、トラックに積み込む人員や物資の容量などを把握する専門員を置くことなどが盛り込まれた。
また、各地から駆けつけた自衛隊や警察、消防などの活動拠点を江東区と八王子市、狛江市に新たに1カ所ずつ設け、計61カ所に増やすことも明記した。
一方、緊急輸送ルートの確保に向けて策定された基本方針では、復旧を急ぐべき緊急輸送道路に優先順位をつけた。生存率の下がる「72時間の壁」を踏まえ、まずは48時間以内に首都高や国道4、17、20、246号など主要7路線と、災害拠点病院や自衛隊などの活動拠点につながる計約550キロを復旧。その後、96時間以内に、支援物資を集積する広域輸送基地と避難所などを結ぶ約150キロを復旧させることを決めた。
沿道に並ぶ建物の耐震化を進める緊急輸送道路は約2千キロに及ぶが、これまでは優先順位がなく、発生後に混乱を招く恐れがあった点を解消した。都は「まずは人命救助が最優先で、搬送ルートなどを確保する。マニュアルは随時改定していきたい」としている。
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