認知症に伴い幻覚や攻撃的になるなどの症状が現れた高齢者に投与される「向精神薬」について、重い副作用が出ているケースもあることから、厚生労働省の研究班は、薬の使用に関するガイドラインを見直し、長期間の使用を避けるなど注意を呼びかけています。
認知症に伴いBPSDと呼ばれる幻覚や妄想、攻撃的になるなどの症状が出た場合、症状を安定させるため抗精神病薬や抗うつ薬などの向精神薬が使用されるケースが少なくありません。
こうした薬の影響についてNHKが去年、認知症の専門医を対象にアンケート調査を行ったところ、回答者の66%にあたる351人が、診療している認知症の高齢者が前に受診していた施設で薬を投与され、寝たきり状態になるなどの副作用が出ていたケースがあると回答しました。
今後、認知症の高齢者の増加が見込まれるなか、厚生労働省の研究班はより安全な治療を行う必要があるとして、地域で診療に当たる掛かりつけ医向けのガイドラインを見直しました。
この中では、基本的には向精神薬を使用しないとしたうえで、使用する際は長期間の使用は避けることや副作用の症状を詳しく説明し、注意を呼びかけています。
厚生労働省研究班の新井平伊代表は「やむをえず薬を使う場合は、危険性と有効性を判断し、家族の同意の下に治療に当たってほしい」と話しています。
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