■昨年は少なくとも1634人の死刑が執行された 世界の死刑執行数、過去四半世紀で最多
(CNN) 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルがまとめた世界の死刑執行状況に関する年次報告書によると、2015年は少なくとも1634人の死刑が執行され、過去25年あまりで最多を記録した。前年に比べると50%以上の増加だった。
特にイラン、パキスタン、サウジアラビアは執行数が激増し、この3カ国を合わせると、2015年に確認された世界の死刑執行数のほぼ90%を占める。
アムネスティによれば、この3カ国では不当な裁判にかけられて死刑を執行される人がかつてない規模で増えているという。
イランで死刑になった人は977人に上り、前年より200人以上増えた。ほとんどは麻薬関連の罪に問われた。うち少なくとも4人は、事件当時の年齢が18歳未満だったとされる。
パキスタンは2014年12月にペシャワル州の学校が武装勢力タリバーンに襲撃されて大勢の子どもが犠牲になった事件を受け、テロ関連事件を対象として、7年にわたって停止していた死刑の執行を再開。同国で過去最多となる326人が15年中に死刑になった。
サウジアラビアは死刑執行の方法も国際的な非難の的になっている。民主化要求デモにかかわったとして17歳の時に逮捕された男性には斬首とはりつけによる死刑が言い渡され、15年9月に国連の専門家が国王に再考を求めた。
ただ、世界で最も死刑の執行数が多いのは中国だとアムネスティは推定し、昨年だけで数千人が死刑にされたと推計している。中国は死刑執行数を国家機密として扱っているため、正確な数は分かっていない。それでも改革が進んで執行数は減った可能性があるという。
一方、死刑が減っている国もあり、米国の死刑執行数は28人と、1991年以来で最も少なかった。ナイジェリアでは死刑を言い渡された人の数が74%減少した。
フィジー、マダガスカル、コンゴ(旧ザイール)、スリナムでは2015年に死刑を廃止。これで初めて、死刑を禁止した国の数が、禁止していない国を上回った。
アムネスティのサリル・シェティ事務局長は、「世界は死刑から離れつつある。今も死刑を執行している国は、自分たちが歴史の誤った側にいるという認識を持つ必要がある」と指摘している。
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