■中国での死刑執行件数は他国をはるかに上回るとみられる
香港(CNN) 国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルは7日までに、中国で昨年執行された死刑は数千人規模に達するとみられると報告した。入手し得た情報に基づく推定数字としており、同国では毎年数千人が死刑判決を受けているとも推測した。
同団体は先に、世界規模での死刑執行状況に関する年次報告書を発表し、昨年は少なくとも1634人が死刑に処されたとし、前年比で50%以上の激増を示したと伝えていた。
ただ、報告書には中国の数字が含まれていなかった。同国政府が過去に明らかにした数字が実態を大きく下回っていたことへの懸念がその理由となっていた。中国での死刑執行は他国をはるかに上回る件数になっているとの見方がある。
米コーネル大法科大学院の死刑問題研究グループによると、中国で2014年に死刑となったのは推定で少なくとも2400人。住民56万2500人当たり1人の計算となる。
アムネスティの中国担当調査員はCNNの取材に、中国の死刑執行を取り巻く状況は非常に不透明と指摘。矛盾点の1つは、死刑が犯罪の抑止力になるとするなら全ての死刑判決が公にされるべきだが、国営メディアなどの執行に関する報道は減少していると主張した。
ただ、改善の兆しも見られ、死罪に相当する犯罪件数は11年に13件、昨年はさらに9件減ったと指摘。核物質密輸など一部の犯罪は死罪の対象から外れ、死刑執行される事例も極めて少ないとしている。中国は14年末、死刑囚からの臓器摘出を段階的に廃止する方針も示していた。
中国では犯罪で無実の者が死刑となる事例も多数表面化しており、死刑制度への反対や批判を強める形ともなっている。今年2月には、内モンゴル自治区で女性の暴行や殺害で有罪となり、死刑となった男性の冤罪(えんざい)が判明し、当局者27人の処罰が発表された。事件は1996年に起き、当時18歳の男性が判決から数カ月内に死刑に処されていた。しかし、9年後に連続レイプ、殺人事件で有罪となった被告が96年の事件の犯行を認め、地元メディアは大きく扱っていた。
同自治区の裁判所は14年12月に18歳男性の死刑判決を撤回して謝罪し、両親に賠償金を支払っていた。
アムネスティの中国担当調査員は、中国政府の言論の自由への締め付けもあり同国内で死刑制度への広範かつ公然とした反対運動が起きるのは不可能と指摘。しかし、死刑制度を疑問視するような全体的な変化は生じていると述べた。その上でこの問題に関する十分な報道がない限り、変化を見極めることは困難とも断じた。
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