20738 「フジヤマのトビウオ」古橋広之進氏   古沢襄

歴史などと大上段に振りかぶるつもりではないが、昨日今日のことでワーワー騒ぐのはやめた方がいい。偉大な記録は日月を経ても必ず多くの人たちから認められる。

サンフランシスコ講和条約が締結される直前に日本水泳界の偉材・古橋広之進氏は数々の世界新記録を打ち立てている。

1947年の日本選手権では400m自由形を4分38秒4で優勝し、公式記録にはならなかったものの当時の世界記録を上回るタイムを出した。しかし敗戦国の日本は1948年のロンドンオリンピックへの参加が認められなかった。

戦勝国であろうと敗戦国であろうと、スポーツの世界では世界新記録は誇るべき記録である。

日本水連は日本選手権をロンドン五輪の水泳競技決勝と同日に開催した。日本の意地を示したものと誇っていい。

古橋は400m自由形4分33秒4、1500m自由形で18分37秒0を出し、ロンドン五輪金メダリストの記録および当時の世界記録を上回っている。

同年9月の学生選手権の400m自由形では自己記録を更新する4分33秒0、800m自由形では9分41秒0を出しこれも世界記録を越えた。誇るべき記録ではないか。

これらの記録は日本が国際水泳連盟から除名されていたため世界記録としては公認されなかった。だが敗戦直後で日本人の多くが苦しんでいる時期に、世界記録を連発する古橋はまさに国民的ヒーローとなった。どれだけ日本人が勇気づけられたことか。

古橋はアメリカの新聞から「フジヤマのトビウオ」(The Flying Fish of Fujiyama)と高く評価されている。

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コメント

  1. 大橋圭介 より:

    教科書に近現代の話として載っていて良いこと。古さんも僕も
    歴史的存在だ、と思います。

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